上京したけど森だった話

~あるICU生のひとりごと~

スウェーデン留学記④:スウェーデンと英語のお話

Hej hej! (ヘイヘイ!と優しく声をかけてくれる店員さんが多いです)

みなさんこんにちは!日本でも北海道はもとより、関東などでも急に寒くなり秋らしい季節になってきていると聞いております。風邪やコロナなどにかからずに過ごされているでしょうか。

スウェーデンヨーテボリですが、思ったほど寒くはないです。地元札幌とさほど変わらないか少し寒いくらい。雨が多いことだけは好きになれませんが、それを除けば私にとっては何ら変わり映えのない秋、といった気候です。(でも道産子的には暖房が入るまでの秋がいっちばん寒いっっ)

そして、今日はスウェーデンと英語のことについてお話ししたいと思います。

 

スウェーデンと英語のこと

スウェーデン公用語スウェーデン語ですが、この国は第二言語としての英語運用力がとても高いことで知られています。EFの英語能力指数ランキングでは2019年は2位、2020年は4位といずれも高いレベルであることがわかります(EF EPI 2020 – EF 英語能力指数)。そのためほとんどのスウェーデン人には英語で話しかければ英語で対応してくれます。大学でも多くの授業が英語で開講されています。

ですが、街中の表記はどうでしょう?実はスウェーデンの街中や駅などには英語の表記はほとんど見当たりません。(ストックホルムへ行けばまた別かもしれませんが…)日本だと、駅やショッピングセンター、最近はバスの中などでも日本語・英語・中国語・韓国語などが併記されていることが割と当たり前の光景となってきていると思います。ですので、私も「スウェーデン語は話せないけど、きっとたくさん英語で書かれているだろう~」なんて軽い気持ちでスウェーデンに来ましたが、英語表記はなかなか見当たりません笑 

何を買うにもGoogle 翻訳のカメラ翻訳機能を駆使して、常に商品にスマホをかざしたり、ほしい商品はあらかじめスウェーデン語で控えてから買いに行くなどしています。こんな感じでスウェーデンの中にはあまり英語は見当たらず、スウェーデン語が大切にされているといった印象を受けました。(スウェーデン人と英語の関係は私がスウェーデンに留学を決めた理由の一つでもあるので、もう少し学びを得たらまた記したいと思います。)

もちろん、英語で話しかければほとんどの皆さん英語で答えてくれますよ!!

 

私と英語のこと

ではここで、私と英語のお話をさせてください。主に言いたいことはスウェーデンに来る前に英語力が落ちていたということです。

小学生の時に何となく始めた英語の勉強を、ハリーポッターが後押しして、将来は海外に留学したい・海外で働きたい、という思いがさらにモチベーションを加速させ、中学生くらいの頃の私は英語の勉強が大好きでした。高校は英語科に進み、英語の授業は英語で行われ、ネイティブの先生が裁量を持って進める授業もあり、英語がわかる・話せるようになっていくことが楽しくて、楽しくて、英語学習に対するモチベーションはこの頃がマックスでした。

大学生になってからは、ELAの授業で週に9~11コマ、さらにその予習復習と気が狂いそうになるくらい(ELAにはかなり嫌気がさしていた笑)の時間を英語に割いてきました。そんな1年生の終わりに何の対策もせずに受けたIELTSは6.5、対策せずだったのでWritingやListeningは形式がわからず少し低くなりましたが、Reading 7.5、Speaking 7.0 と対策なしの割には(←ここ重要笑)割といいスコアだったと満足しました。

 

hanamaru5.hatenablog.com

 

まあまあ話せるし、言っていることもわかる、授業の文献もまあ読める。そうなると、私の英語学習に対するモチベーションはぐんぐんと落ちていきました。2年生からはELAもなくなったので(厳密にはありましたが1学期間週に3コマ程度だけ)、英語に触れる機会も少なくなりました。そもそもコロナ禍で英語どころか人にも触れなくなりましたが…

そうなるとモチベーションどころか、英語力もどんどん落ちていきました。ここまで積み上げるのに何年もかかったのに、壊れるのは一瞬ですね。焦りを感じて英語でPodcastを聞いたり、海外から来ている友達とは英語で話すようにしたり、Language Bodyに応募して言語交換をしながらお話ししたり、少しはしてみましたが足りませんでした…

そして今、スウェーデンで私がどうなっているでしょう?「言ってることはまあわかるけど、自分の言いたいことが言えない」という状態です。

 

「日常会話レベル」って何?

そんな私がスウェーデンに来る前から薄々疑問に思っていたことがあります。それは、「日常会話レベルとは?」ということです。

よく英語だけでなく、さまざまな言語のレベルを問うときに、「初級:簡単な単語を知っていて簡単な挨拶ができる」「中級:日常の会話ができる」「上級:アカデミックな議論やビジネスでの使用ができる」などという風にレベル分けされていることが多いと思います。ですがここで私は思うのです。日常会話は本当にアカデミックな議論やビジネス会話の下に来るのか、と。

英語全く苦手だよ~という人にとってはアカデミック英語やビジネス英語と聞くと無理無理~と思われるかもしれません。しかし、私は日常会話こそ一番難しいのではないかと思うのです。

高校生のときから、英語を使ってディスカッションをしたり、プレゼンをしたり、ディベートまでしてきたので、アカデミックな語彙だったり、主張の仕方だったりには慣れてきているつもりです。そして、大学で英語で授業を受けていても、先生方ははっきりと明瞭な発音で話しますから聞き取ることができますし、何よりその分野についての知識を持っているため話の内容を理解することができます。

では日常会話はどうでしょう?学校では習わないような単語やスラングが出てきますし、簡単な単語でも組み合わさりフレーズやイディオムになると全く別の意味になったりします。さらにみんなごにょごにょしながらとてつもないスピードで話します。無理です。完璧に聞き取れるわけがないし、聞き取れたところでそのスピードについていきながら話していけません。また、話の内容も仲間内でしか知らないことだったり、前知識を共有していない場合は何の話をしているのかの予測さえできないのです。だから私は最近、日常会話こそ最大の壁だ、と思うようになりました。

実際に出会ったフィンランド人の友達には、「難しい語彙結構使うよね」と言われました。そうなのです、自分の分野(教育や言語教育)に関することなら割とずっと話していられるけど、普段の生活で使う単語やフレーズだったりはわからないし使えない…お店の商品や指示を英語に翻訳しても、その英語が何なのかわからない…私は圧倒的日常会話弱者だったのです。

 

私と英語とこれからのこと

でもこれはある意味しょうがないことなのかなとも思います。日本にいたら日常会話で英語を使うことってほぼないのですから。だからこそあまり悲観しすぎずに、これからの日常生活でたくさん英語を使って(というかスウェーデン語ができない私は英語でしかコミュニケーションをとることができない…)、日常会話レベルを習得したいと思います。アメリカ人のLanguage Body (オンラインで交流してます) も、みんな誰も完璧じゃないし、日常会話を行う機会が今までなかったのだから仕方ない、これからスタートだよ、と言ってくれました。

どのように英語を勉強していくか、今までの積み重ねはもちろん大切にしつつも、ある意味再スタートとして、そして言語教育を勉強している者として、効率的にさらに楽しく勉強できる方法を探っているところです。自分が教える際は生徒が本物の日常会話に触れる機会をたくさん作りたいと切実に思っています。

これからの勉強の方向性が確立したらまた、ここに記して宣言することでモチベーション維持につなげたいと思います。

 

長くなりましたが、最後までお付き合いいただきありがとうございました!

Hej då! (スウェーデン語でバイバイ!みたいな意味です)