上京したけど森だった話

~あるICU生のひとりごと~

インターナショナルスクールでの教育実習#3:実習の内容

スウェーデンにあるインターナショナルスクールでの教育実習をしている私ですが、とはいえ実際どんなことをしているの?と思われる方も多いかと思います。もう4週目を終え、残すところあと3日だけとなりました!そんな中、私自身の振り返りと、もし今後ヨーテボリ大学に留学してインターでの教育実習をする方がいれば参考になればいいなと思うので、実際に私がどんなことをしているのかをお伝えします!

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教育実習1週目

1週目はただ見学、ちょっとお手伝い、といった感じでしたが、英語力のなさに絶望して終わりました笑 そして、小学生3年生の言葉を聞き取るのが難しいのなんのって!ちー---いさい声でもごもごぶつぶつと話すんですよ、聞き取れません無理です。と思っていましたが、担任の先生が、あなたは大人しすぎるし、話し方も静かすぎる。もっとはっきりと、大きな声で話して!伝えてきました。そして私は気づいたのです、

あー----!私かー---!子どもたちがぶつぶつもごもご話していると思っていましたが(まあ確かにそうなのですが、)私も、小さい声でぶつぶつもごもご話していたのです。相手を知るためにはまずは自己開示、なんて言いますけど、相手にしっかり話してほしかったら私がしっかり話さなきゃいけないんだって気が付きました。また、小さいつぶやきだって、どうせ聞こえない、聞いていなくても大丈夫だろうと、私が聞こうとしていないだけだっていうことにも気が付きました。そこからは、少しずつ私自身がはっきり話すようにして、子どもたちの話も何とか聞こうと細心の注意を払いました。

 

教育実習2週目

私自身がはっきり話すように心がけて、子どもたちの話も全神経を傾けて聞く努力をすると、何を言っているのかが聞こえてくるようになりました。また、私がしっかり話すようにしたら、心なしか話しかけてくれる子どもたちも増えたような気がしました。

そして2週目から少しずつ活動や授業を任せてもらえるようになりました。まずは朝のミーティングから。日本の朝の会はその日の連絡事項や目標などの設定を行い5~10分ほどでさくっと終わるものが多いと思いますが、海外のモーニングミーティング、というとチームビルディングだったりアクティビティをすることが多いようです。さらにISGRでは、30分ほどかけてモーニングミーティングを行うこともあります。内容としては、「挨拶」「共有」「アクティビティ・ゲーム」の3つ。「挨拶」、って挨拶するだけじゃないの!?と私はびっくりしてしまいました。挨拶は挨拶でも、例えばくじを引いて出た相手の人に挨拶しよう、とか、いろんな声になり切って挨拶しよう、とかなんだかいろんな挨拶のアクティビティがあるらしく、それを行います。私は全くそんな経験もないので、本を見たり、ネットで調べたりして「挨拶」のアクティビティを行いました。

「共有」ではトピックは何でもいいのですが、一つのトピックについて生徒たちが一人ずつ話していきます。この際は教室の前で円になって行っています。トピックは何でもいい、とはいえその際行っている探求学習などに絡めるといいと担任の先生からアドバイス。朝のミーティングまで!全部探求学習がベースになっているんですね。

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そして2週目からは実際に授業を行うことも始まりました。私が初めに行った授業は算数!信じられますか、信じられないです私は、笑。いつの自分が、将来スウェーデンのインターで小学生に英語で算数を教える日が来る、なんて想像できたでしょうか、できません笑 私は割り算を担当することになり、授業計画なども一から作りました。授業の行い方は担任の先生のやり方に従いながらも、目標を設定し授業ごとの内容を考え…何が一番難しかったって、この先生、学校?は能力別授業をクラスの中で行っている、というところです。割り算の単元が始まる前にテストを行い(これも作成しました!笑)、そのテストに基づいて生徒をレベルごとに振り分けます。この学校の方針としては、全員が同じことをできるようになる、ではなく、ひとりひとりの目標に合わせて、最初の地点からどれだけ成長したか・進歩したか、を重視しているため、レベルごとに到達目標も違えば、同じ割り算でも扱う内容が違います。1コマの授業の中で2回ローテーションを行い、2/4のグループは私と一緒に学習し、残りのグループは自分たちで学習します。

私と一緒に学習するグループと何を学習しよう、どんなふうに教えよう、っていうかこの算数用語、英語でなんて言うんだ!!というところからはじまり、私と一緒に学習しないグループが学習する教材やそのページを決めたり。すべてが決まっていないから柔軟性があるけれど、柔軟性がありすぎるから先生の仕事量もその分増えます。慣れていればパパっと終われのでしょうが、慣れていないので準備にとても時間がかかりました。

初めての授業を終えて、その一回だけですでにたくさんの学びと反省がありました。まず、一斉授業よりも少人数のグループ別に教える方が簡単だろうと思っていましたが、真逆でした。(とはいえまだ、一斉授業は模擬授業しかしたことないけど…)もちろん一斉授業でも生徒の表情を伺い理解度を確かめたり、一緒に授業を作り上げていくことは大切です。ですが、教師対生徒40人、などの構図になると諦めというか妥協の部分もあると思います。ですが、少人数、3~7人程度のグループ別に教えると、生徒一人一人の表情、理解度、進捗がとてもよく見えます。そのため、彼らに合わせて柔軟に計画を変更する必要があるのです。もちろん、想定をすることはできますが、やはり柔軟さが求められます。その、たった15分程度の時間の中でいかに頭をフル回転させ柔軟に生徒たちの必要なことを行うか考え実行しなければいけないという点で、少人数の指導はとても難しいと感じました。

また、はじめての授業を終えての一番の反省は私が生徒の機嫌を取ろうとしてしまったことです。その日の一回目のローテーションにいた生徒は少々生意気な感じの男の子でした。私は彼に嫌われたくない、嫌な印象を持たれたくない、と思ってしまったのですね。彼が、「それはもう知ってる」などと言うたびに、事前テストで彼は理解していないと把握していたし、他の生徒もいたのに、その子のペースに合わせてしまいました。担任の先生からも、You're not here to please them, but to teach. (生徒たちを喜ばせたり機嫌を取ったりするためにいるんじゃないんだから)とアドバイスをもらいました。本当にその通りでした。生徒を尊重することと、生徒に好かれようとすること・機嫌を取ろうとすること、は全く別であると学びました。生徒の意見や理解度、進捗を尊重し柔軟に対応することは必要ですが、自分の体裁や彼らからの印象を気にして、機嫌を取ることは教育という場面においてはしてはいけないことでした。

 

教育実習3週目

学校にも子どもたちにも慣れてきて、本格的に授業を任せてもらえて、3週目ではその量もかなり増えてきました。算数の授業は一週目よりは感覚がわかってきました。とにかく、生徒に気に入られようとしない、本当に生徒のためになることをする、という気の持ちようで挑みました。そうすると、生意気だと思いちょっと恐れていた生徒も怖くなくなり、落ち着いて生徒と学習することができました。教える技術などはまだまだ伴っていませんが、気の持ちようと落ち着きだけでここまで自分の中で変化を見出すことができるんだと、自分でも驚きました。担任の先生からも、1回目のレッスンよりもよくなっているねと言ってもらうことができました。

また、算数に加えて、Language(日本でいう国語)の授業も行うことになりました。今回の単元は、Fantasy Writing(ファンタジーの物語を書く)。探求学習とは少し離れてしまいますが、3年生の先生たちでもともと決めていた単元だそうです。これも授業計画を立てましたが、私自身もFantasy writing や Story writing について学ぶところからスタート。卒論で児童文学を取り上げたいと考えていたり、そもそも英語学習に力を入れ始めたきっかけがハリーポッターだっただけに、この単元を任せてもらえたことは大きな挑戦であると同時にとても運命的なものを感じました。初回の授業ではハリーポッターのビデオクリップを見ながら、そこに出てくるもの(登場人物や魔法道具)を生徒たちとディスカッションしそこからファンタジーの特徴についてを学びました。この前の単元が、レポートライティングで事実を書いていたためそこからの繋がりでファンタジーについて説明。説明、というよりは誘導、ファシリテートして生徒たち自身がファンタジーの特徴だったり他のジャンルとの違いを探すことのできる授業を行うことができました。私が前に立っていても一方的じゃない授業、双方向のやり取りがある授業。個人的には理想的な授業ができた気がします。

2週目での学びと反省を生かして、3週目では少しずつ成長・改善できてきていると感じていました。ですがここで問題が!生徒が私をなめはじめました笑 担任の先生の時はしっかり指示を聞き、大人しくしていた子たちが、私の時となると指示を聞かず授業中もぺちゃくちゃ・・・先生からは、You need to be direct! とアドバイスをもらいました。日本語でどう表せるかわからないのですが、もっと端的に、パッパッと指示を出したりして!ということでした。また、私の声のトーンにも言及されました。トーンが一定だから生徒たちの耳に入っていかない、と。

そこで私は自分が高校生の時に一定のトーンで50分間喋り倒す先生の授業に飽き飽きして当然開始5分で夢の中へ行ってしまっていた自分を思い出しました。私が先生なら絶対こんな一定のトーンで話さないのに。と、生意気言っていましたが、な、ん、と!私がその先生になってしまっていたのではありませんか!カルマです。そういうことは自分に返ってきます。あの時の先生、誰だったかはおぼえてないけど、ごめんね、これ、すっごく難しいね・・・確かに私は今回、言語的に不利な部分があるとはいえ、一つの説明をするのにもだらだらながながと話してしまっていました。担任の先生の話し方を聞いてみると、端的に一言一句はっきりと、トーンに変化をつけて話しています。私も見習って真似してみることにしました。

 

教育実習4週目

この週は木曜日と金曜日が祝日でお休みだったため3日だけでした。さらに、水曜日は映画の日、みたいな感じで午前中はお菓子を食べながら映画を見て午後はアートのワークショップだったので実質2日だけでした。この週の目標は、端的に、はっきりと話すこと、へらへらしないこと、でした。前週に先生から、へらへらするな、と言われたわけではありませんが、優しすぎる、雰囲気が柔らかすぎる、といったようなことを言われました。実は中学生くらいの頃からこのことには気づいていて、中学も高校も部活で先輩になっても威厳がなく、へらへらしているとよく言われ、コンプレックスというかなんというか、自分の中で難しい側面です。でも、我ながらいつもにこにこして明るく柔らかい雰囲気なのは気に入っているし長所の1つだと思っているから、そこをもう少しどうにかしてと言われてしまって少し傷つきました、笑 担任の先生からは、私だって明るく楽しい雰囲気の時はあるし、もともとはそういう性格だけど、先生をするうえでは演じたり性格を変えなきゃいけない時もある、と言われ、そんなもんなのかなぁと思いながらも、4週目はそのことも気にしながら生徒と接しました。

4週目で慣れてきて緊張も少しはほぐれてきたこともあり、端的に、パッパッと話したり指示を出す、という部分は前週よりは少しできるようになりました。そうすると確かに、そんなにたくさんの語彙や表現はいらないことにも気づきました。英語がネイティブじゃない私は初めからこうするべきだったな~と、、、また、へらへらしない、についてですがこちらもかなり気を付けて、別に常に怒ったり険しい顔・雰囲気をしているわけではないけれど、ただずっとニコニコとしているんじゃなくて、表情で伝えたり雰囲気や態度でその場の雰囲気を作る、ということの意味が分かってきました。できるようになったわけではないです笑 これにはかなりの特訓が必要だろうなと思います。私の長所であるへらへらを殺さずになんとか、生徒のお友達、ではなく教師としての役割につけているような気がします。先生から何回も言われました、You're not here to be their friends! You'll be a teacher, an educator!!(お友達になるためじゃなくて、先生に、教育者になるためにここにいるんだから)この言葉とその意味を少しは理解し、実行できたことが4週目の学びだったかなと思います。

 

教育実習5週目

さて、5週目は最後の週で明日から始まります。残り3日間です。明日は大学のこのコースの担当の先生が授業を見に来ます。最後に振り返りレポートも書きますが、実質この先生が授業を見に来るのが試験、という形になるそうです。緊張は少ししますが、これに関してはそこまでの緊張はしていません。緊張するとしたら、明日生徒たちが理解出来たり、一つでも何か学んだり気づいたりすることができる授業を行うことができるかどうか、です。

今週の目標は、総括として今までの反省などすべてを生かして実習することです。本当に生徒のためになることをする、機嫌を取ろうとしない。柔軟に対応できるように想定し、準備する。端的に指示を出す。声のトーンに変化をつける。時間配分に気を付ける。教師を演じる。などなどが目標です。

また、英語に気を取られず、英語の先にあるもの、「生徒」を意識して行動することを忘れずに、残り3日間、頑張ります(*^^*)