上京したけど森だった話

~あるICU生のひとりごと~

ICUに入ると英語ができるようになるのか!?~ELA編~

明日から新年度!一足早いですが、新入生の皆さんご入学おめでとうございます。楽しみもありつつ、不安もいっぱいですよね。みなさんの大学生活が素敵なものになるように願っています。

さて、国際基督教大学ICU=英語に強い、みたいな謎の等式が皆さんの頭の中にあるのでしょうか?

ICUに興味のある方の中には英語が好き、帰国生、留学経験ありなど英語や外国語に対してポジティブな方も多い中で、ICUの環境で、リベラルアーツの大学で学んでみたいけれど、英語が全然できなくて不安…という方も多いかと思います。

結論だけ言うと、英語が出来なくても入学できるし、入って大丈夫です!

ICUの特徴的なプログラムであるEnglish for Liberal Arts 通称ELAについてはこちらをご参照ください!)

hanamaru5.hatenablog.com

今回は現在3年生(あ、もう4年生…)かつ留学中の私が、ELAを終えて実感していることについてお伝えします!

 

ICUに入る前の私

留学経験なし、海外生活経験なし、親は英語学習どころか勉強にあまり興味なし笑、おまけに地方出身という環境で育った私ですが(いわゆる「純ジャパ」というやつですね、この表現に対する話についてもELAについての記事↑をご覧ください)、ICUに入る前から英語は好きで、自信もそれなりにありました。

英語学習の経験としては、10年間公文式での学習、高校3年間英語科での学習があります。英会話には通ったことがなかったため、主に高校での経験がICUに入る前の自信に繋がっていたと感じています。

高校の英語科では文法以外の英語の授業はほぼオールイングリッシュでした。英語を学ぶだけでなく英語で世界の文化や宗教を学んだり、社会問題を学び議論し、スピーチをしたり、エッセイを書いたりしました。受験前の忙しい時期でも2~3カ月かけてディベートを行うなど、英語に偏った3年間を過ごしました。

もちろん、授業以外の時間でも、ドラマや映画を英語字幕で見始めたり、ニュースを見る(これですね、CNN 10 - CNN)、英検やTOEFLのために勉強するなど自分でも英語に多くの時間を割いていました。

その甲斐あってか、完璧では全くありませんでしたが、英語学習そのものが大好きで、英語に対する恐怖心などさほどありませんでした。

 

Stream 3 での授業

少しは自信があった私なので、春学期の授業は少し簡単に感じていました。ライティングも基礎からなので、もう知ってるよ、とか生意気に思っていました、(←本当に生意気です、あとで痛い目を見ました笑)。裏を返せば、しっかりライティングの基礎やリーディングの基礎を叩き込まれるので英語でのライティングの経験がない人でも大丈夫です。

ですが一番大変だったのもまた、ライティング・リーディングです。ライティングは基礎などは高校で学びましたが長くて300~500wordsくらいの記述、さらに圧倒的文法弱者でした笑。もう知ってるよとか、簡単~なんて思えたのは最初だけでだんだんキツくなっていって、自分全然まだまだだなと気づかされましたし、Stream 3 で本当によかったなって思いました。

英語に自信はあったものの、高校はスピーキング重視でリーディングをあまり行っていなかったのでこちらもかなり悪戦苦闘しました。リーディングはELA Reader というELAのためにつくらたテキストを使用し、学期ごとにテーマが分かれているのですが、なんせこれが見たことのない長さ!!長っっっ!!

私の時は、

春→大学生とは何か、大学での学びとは、

秋→異文化理解の壁について、人間の物事(文化など)の捉え方について(文化心理学的な要素が強かったです)、

冬→生命倫理

ELAは大きなプログラムなので、その中に別々の授業があるのですが、AWRとRCAというクラスではこのテーマに沿ってテキストを読んでいきます。宿題としてリーディングをしますがこれが結構大変でした。そしてこれを読んでこないと授業に全くついていけないのです。授業中は読んできた(とされている)リーディングをもとにディスカッションをします。

ディスカッションの内容としては、

  • リーディングの構成の確認(パラグラフの繋がりなど)
  • 内容の確認
    • 各パラグラフごとにどのような内容が書かれているかを確認しあいます
    • 抽象的な内容や言葉が出てきたらそれがどういう意味なのか話し合います
  • 内容についてディスカッション
    • 上二つは書かれていることについての確認でしたが、それに加えて、内容についてどう思うか自分たちの意見について話し合います。
    • ICUではCritical Thinking(批判的思考)を育てることを目標としているのでこの過程もかなり重視されています。要は、読んできたテキストに疑問を投げかけ、ツッコミを入れていく感じですね

が多かったです。そして授業内でのそのような過程を経て、学期中に1つか2つ(Streamにもよります)のエッセイを書きます。最初は1000words行くか行かないかくらい、最後の方は1500 wordsくらいだったと思います。その学期に読んだ内容からトピックを定め、自分の考えを読んだテキストやそのほかの文献を用いて表していきます。

ELAで英語力は伸びる?

何をもって英語力とするか、にもよりますが私の場合は伸びたと感じています。

私の場合特に伸びたなと感じているのは、リーディングとライティングです。もちろんELAだけでなく通常の授業で英語の文献を読むことが多く、それで鍛えられた部分もありますが、ELAでの学習は大きく影響していると思います。

現在留学中でそれほど難しい授業をとっているわけではないこともありますが、リーディングは入学前と比べて確実に速く正確に読めるようになっているように感じています。ELAが一段落する1年生の終わりにIELTSを受けることができるのですが、まったく対策なしでリーディング7.5 だったので伸びたといえると思います。

また、ライティングも深い内容でなければ最近は1日半で1800 wordsくらいパーッとかけるくらいには成長しました(よろしくない笑)。スウェーデン人やヨーロッパの学生は話すと本当にネイティブみたいに流暢ですが、アカデミックライティングという点では私も並べるかな?と少しは自信が持てるくらいにはELAで本当に叩き込まれた感じがします。

今もまだまだ成長途中ですが、確実に入学前より力が付いたと感じていますし、何より英語の文献への抵抗が減りました(これは他の授業の影響もあるかもしれないけど…)。

もちろん、リスニングとスピーキングについてもどちらも伸びたと感じています。ELAはすべてオールイングリッシュ、日本語禁止なので…特にリスニングは留学先でも大学の講義などを聞く分には問題ないくらいに伸びました。ただ友達同士の速くてスラングやイディオムが多用されている会話などは今でも聞き取れないことがあります。

スピーキングは私の場合は使っていないとすぐに落ちてしまうので、落ちて戻って落ちて戻っての繰り返しです。でもELAを受講しているときはほぼ毎日授業があり英語を使う機会があったので高校生の頃よりも流ちょうに話せているという感覚がありました。英語なんて文法と受験の長文問題だけしかやったことないよ!という最初は全く話せていなかった友達でもやっていくうちに内容を議論したり、話したりできるようになっていっていました。

ELAで伸びるのは学習力

などと言いましたが、ELAで一番伸びたのは学習力だと思います。というのもELAというのは英語で授業を受けるための準備プログラムなのです。だから、ぶっちゃけ言ってしまえば英語が伸びなくても、英語で授業を受ける力さえついていれば問題ないのです。

この学習力、というものがリーディングであったりライティングを必要とします。ELAでこれらが特に伸びたと感じている私は結果として大学で学ぶ力がついたなと感じています。リーディングの際には、Annotation(アノテーション)といってテキストに書き込むことが推奨されるのですが、大事なところに線を引いたりするだけでなく、わからないところに印をつけたり、自分の疑問や感じたことなどもそこに書いていきます。こういった細かいこともELAの授業だけでなく、普通の授業を受ける際に役立っています。

また、ELAではアホみたいに課題が出て時間を割かなければならないので、そういった課題をどのように扱うか、という部分での学習力も少しは身についたと感じています。大学生になるまでの私はかなり完璧主義なところがあったのですが、ELAのおかげで(せいで)手の抜き加減だったり周りを頼ることだったりを徐々に学習しました笑 

 

英語が出来なくても大丈夫

ここまで読んでくださった方は、「いや、お前、入学前から少し英語できたんじゃん」と思われたかもしれません。確かにそうかもしれませんが、リーディングやライティングなどは大学での学習レベルではありませんでした。そんな状態でもしー--っかり叩き込まれるので安心してください笑

また、本当に英語苦手・・・という友達もいますがみんな何とか生き延びてきています。なので大丈夫です。なんとかなります。

 

勝手にQ&A

Q: Stream は重要?

A: 最初は気にしますが、最初だけです。自信過剰で、ELAではStream 2 に入りたい!と願っていたのでStream 3になって正直最初はショックで、嫌だな~と思っていました。でもELAを終えて2年近く経った今ではStream 3 が自分のレベルにあっていてよかったと感じています。もし簡単すぎる…という場合は春学期の終わりに調整の申請をして通れば上のStreamに上がることもできます。

1年生の頃は、初対面の人との会話が「Stream 、寮か通学か、サークルは」みたいにそればっかりなのですが、2年生になると誰もStreamなんて尋ねなくなります。最初だけです。

また、Stream によってELAの授業数が増え通常授業が取れないため卒業などに響くのではないかと心配する人もいますが(私です)、問題ありません!例えStream 4でも2年生からはELAが(ほぼ)ないのでしっかり通常授業をたくさんとって卒業できます。1年生の頃は、くそっELAのせいでとりたい授業が取れない…とイライラしますが、ほとんどの授業は毎年開講されているのでそんなに焦ることはないです。

 

Q: 留学は必修ですか?

A: 必修ではありません!留学も海外そんなに興味ないよ~というICU生も実は全然います。

 

Q: 英語開講の授業は必修ですか?

A: 必修です!ELA受講生は英語開講(通称E開講)の授業を18単位取らなければなりません。ほとんどの授業が1つ3単位なので、6つほど英語で授業をとらなければなりません。そもそも、ELAはこの英語開講の授業を受けるための準備として設けられているので、実はこちらが本番なのです。

 

Q: 英語が全然できません。ICUに入っても大丈夫ですか?

A: 大丈夫です。ICUの入試のシステムだと実は英語が壊滅的でも入学できちゃうので、英語が苦手、英語ができないよという方もいます。でもStreamでレベル分けされて本当に徹底的に英語をやらされるので、少し、もしくは4技能のどれかは伸びますし、いろいろと学ぶ力が付くはずです笑。そして、ELAと必修のE開講18単位さえとってしまえばそれ以外は英語を全く使わずに避けて生きることも可能です。E開講も一般教育や基礎科目など比較的内容が簡単な授業をとるという作戦を使うこともできます。なので、ICUに入っても大丈夫です。ただ、分野によっては英語開講が多かったり、教科書が英語だったりするので要注意です(言語教育メジャーはそんなのばっかりです笑)!

 

Q: ELAのクラスはどんな雰囲気ですか?

A: これはもう、そのセクション(クラス)によります。セクションによってはみんな真面目でやる気があって授業中は英語で会話をする雰囲気があり、課題も大体ちゃんとやってきて、LINEも頻繁に動いてみんなで助け合っているというセクションもあります。一方で日本語話しまくるし、あんまりみんな課題やってこないし、なんなら授業に3人くらいしか来てない、みたいなセクションもたまーにあります笑

私のセクションは前者の方で、セクションメイト(クラスメイト:通称セクメ)も割とみんな仲が良く、みんな優しく、授業を楽しくまじめに取り組むのはもちろん、ELAが終わった今でもよく遊びに行ったり、セクションコンパ(セクコン)をしたりしています。この前もzoom会をしたり、私は今留学中ですが、最近は他の地域に留学中のセクメとzoomで話したりしています。

どのような雰囲気のセクションだとしても、英語で話すことや発音がうまいことを馬鹿にするような雰囲気はないと思います。日本の学校だとありがち…?かもしれません。ですが、ICUのELAは恥ずかしがらずにたくさん英語で話して、発音や流暢さを向上させられる雰囲気・環境だと思います。

 

Q: ICUに入る前にどのような英語の準備をしておけばいいの?

A: 強いて言うなら、単語の勉強!語彙力は本当に大事です。語彙力がないと大学レベルの言いたいことも言えないし、書きたいことも書けません。あと、読むのも大変。そして、大学生になると個人的には単語帳に割ける時間も少なくなり、単語学習への強制力みたいなものもなくなったと感じています。なので、大学生になる前に(もちろん大学生になる前も忙しいと思いますが、)、受験などで需要やモチベーションがあるうちに単語の勉強はしておくといいと思います。レベルでいうと英検準1級程度までやっておくと、ICUのELA Stream 3では語彙力がある方に分類されると思います。

 

今回はICUで英語ができるようになるのか、を個人的な経験とともにELAの観点からお伝えしました。また機会があればELA以外の側面でどのように英語と触れることができるのかをお伝えできればと思います!