上京したけど森だった話

~あるICU生のひとりごと~

インターナショナルスクールでの教育実習#3:実習の内容

スウェーデンにあるインターナショナルスクールでの教育実習をしている私ですが、とはいえ実際どんなことをしているの?と思われる方も多いかと思います。もう4週目を終え、残すところあと3日だけとなりました!そんな中、私自身の振り返りと、もし今後ヨーテボリ大学に留学してインターでの教育実習をする方がいれば参考になればいいなと思うので、実際に私がどんなことをしているのかをお伝えします!

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教育実習1週目

1週目はただ見学、ちょっとお手伝い、といった感じでしたが、英語力のなさに絶望して終わりました笑 そして、小学生3年生の言葉を聞き取るのが難しいのなんのって!ちー---いさい声でもごもごぶつぶつと話すんですよ、聞き取れません無理です。と思っていましたが、担任の先生が、あなたは大人しすぎるし、話し方も静かすぎる。もっとはっきりと、大きな声で話して!伝えてきました。そして私は気づいたのです、

あー----!私かー---!子どもたちがぶつぶつもごもご話していると思っていましたが(まあ確かにそうなのですが、)私も、小さい声でぶつぶつもごもご話していたのです。相手を知るためにはまずは自己開示、なんて言いますけど、相手にしっかり話してほしかったら私がしっかり話さなきゃいけないんだって気が付きました。また、小さいつぶやきだって、どうせ聞こえない、聞いていなくても大丈夫だろうと、私が聞こうとしていないだけだっていうことにも気が付きました。そこからは、少しずつ私自身がはっきり話すようにして、子どもたちの話も何とか聞こうと細心の注意を払いました。

 

教育実習2週目

私自身がはっきり話すように心がけて、子どもたちの話も全神経を傾けて聞く努力をすると、何を言っているのかが聞こえてくるようになりました。また、私がしっかり話すようにしたら、心なしか話しかけてくれる子どもたちも増えたような気がしました。

そして2週目から少しずつ活動や授業を任せてもらえるようになりました。まずは朝のミーティングから。日本の朝の会はその日の連絡事項や目標などの設定を行い5~10分ほどでさくっと終わるものが多いと思いますが、海外のモーニングミーティング、というとチームビルディングだったりアクティビティをすることが多いようです。さらにISGRでは、30分ほどかけてモーニングミーティングを行うこともあります。内容としては、「挨拶」「共有」「アクティビティ・ゲーム」の3つ。「挨拶」、って挨拶するだけじゃないの!?と私はびっくりしてしまいました。挨拶は挨拶でも、例えばくじを引いて出た相手の人に挨拶しよう、とか、いろんな声になり切って挨拶しよう、とかなんだかいろんな挨拶のアクティビティがあるらしく、それを行います。私は全くそんな経験もないので、本を見たり、ネットで調べたりして「挨拶」のアクティビティを行いました。

「共有」ではトピックは何でもいいのですが、一つのトピックについて生徒たちが一人ずつ話していきます。この際は教室の前で円になって行っています。トピックは何でもいい、とはいえその際行っている探求学習などに絡めるといいと担任の先生からアドバイス。朝のミーティングまで!全部探求学習がベースになっているんですね。

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そして2週目からは実際に授業を行うことも始まりました。私が初めに行った授業は算数!信じられますか、信じられないです私は、笑。いつの自分が、将来スウェーデンのインターで小学生に英語で算数を教える日が来る、なんて想像できたでしょうか、できません笑 私は割り算を担当することになり、授業計画なども一から作りました。授業の行い方は担任の先生のやり方に従いながらも、目標を設定し授業ごとの内容を考え…何が一番難しかったって、この先生、学校?は能力別授業をクラスの中で行っている、というところです。割り算の単元が始まる前にテストを行い(これも作成しました!笑)、そのテストに基づいて生徒をレベルごとに振り分けます。この学校の方針としては、全員が同じことをできるようになる、ではなく、ひとりひとりの目標に合わせて、最初の地点からどれだけ成長したか・進歩したか、を重視しているため、レベルごとに到達目標も違えば、同じ割り算でも扱う内容が違います。1コマの授業の中で2回ローテーションを行い、2/4のグループは私と一緒に学習し、残りのグループは自分たちで学習します。

私と一緒に学習するグループと何を学習しよう、どんなふうに教えよう、っていうかこの算数用語、英語でなんて言うんだ!!というところからはじまり、私と一緒に学習しないグループが学習する教材やそのページを決めたり。すべてが決まっていないから柔軟性があるけれど、柔軟性がありすぎるから先生の仕事量もその分増えます。慣れていればパパっと終われのでしょうが、慣れていないので準備にとても時間がかかりました。

初めての授業を終えて、その一回だけですでにたくさんの学びと反省がありました。まず、一斉授業よりも少人数のグループ別に教える方が簡単だろうと思っていましたが、真逆でした。(とはいえまだ、一斉授業は模擬授業しかしたことないけど…)もちろん一斉授業でも生徒の表情を伺い理解度を確かめたり、一緒に授業を作り上げていくことは大切です。ですが、教師対生徒40人、などの構図になると諦めというか妥協の部分もあると思います。ですが、少人数、3~7人程度のグループ別に教えると、生徒一人一人の表情、理解度、進捗がとてもよく見えます。そのため、彼らに合わせて柔軟に計画を変更する必要があるのです。もちろん、想定をすることはできますが、やはり柔軟さが求められます。その、たった15分程度の時間の中でいかに頭をフル回転させ柔軟に生徒たちの必要なことを行うか考え実行しなければいけないという点で、少人数の指導はとても難しいと感じました。

また、はじめての授業を終えての一番の反省は私が生徒の機嫌を取ろうとしてしまったことです。その日の一回目のローテーションにいた生徒は少々生意気な感じの男の子でした。私は彼に嫌われたくない、嫌な印象を持たれたくない、と思ってしまったのですね。彼が、「それはもう知ってる」などと言うたびに、事前テストで彼は理解していないと把握していたし、他の生徒もいたのに、その子のペースに合わせてしまいました。担任の先生からも、You're not here to please them, but to teach. (生徒たちを喜ばせたり機嫌を取ったりするためにいるんじゃないんだから)とアドバイスをもらいました。本当にその通りでした。生徒を尊重することと、生徒に好かれようとすること・機嫌を取ろうとすること、は全く別であると学びました。生徒の意見や理解度、進捗を尊重し柔軟に対応することは必要ですが、自分の体裁や彼らからの印象を気にして、機嫌を取ることは教育という場面においてはしてはいけないことでした。

 

教育実習3週目

学校にも子どもたちにも慣れてきて、本格的に授業を任せてもらえて、3週目ではその量もかなり増えてきました。算数の授業は一週目よりは感覚がわかってきました。とにかく、生徒に気に入られようとしない、本当に生徒のためになることをする、という気の持ちようで挑みました。そうすると、生意気だと思いちょっと恐れていた生徒も怖くなくなり、落ち着いて生徒と学習することができました。教える技術などはまだまだ伴っていませんが、気の持ちようと落ち着きだけでここまで自分の中で変化を見出すことができるんだと、自分でも驚きました。担任の先生からも、1回目のレッスンよりもよくなっているねと言ってもらうことができました。

また、算数に加えて、Language(日本でいう国語)の授業も行うことになりました。今回の単元は、Fantasy Writing(ファンタジーの物語を書く)。探求学習とは少し離れてしまいますが、3年生の先生たちでもともと決めていた単元だそうです。これも授業計画を立てましたが、私自身もFantasy writing や Story writing について学ぶところからスタート。卒論で児童文学を取り上げたいと考えていたり、そもそも英語学習に力を入れ始めたきっかけがハリーポッターだっただけに、この単元を任せてもらえたことは大きな挑戦であると同時にとても運命的なものを感じました。初回の授業ではハリーポッターのビデオクリップを見ながら、そこに出てくるもの(登場人物や魔法道具)を生徒たちとディスカッションしそこからファンタジーの特徴についてを学びました。この前の単元が、レポートライティングで事実を書いていたためそこからの繋がりでファンタジーについて説明。説明、というよりは誘導、ファシリテートして生徒たち自身がファンタジーの特徴だったり他のジャンルとの違いを探すことのできる授業を行うことができました。私が前に立っていても一方的じゃない授業、双方向のやり取りがある授業。個人的には理想的な授業ができた気がします。

2週目での学びと反省を生かして、3週目では少しずつ成長・改善できてきていると感じていました。ですがここで問題が!生徒が私をなめはじめました笑 担任の先生の時はしっかり指示を聞き、大人しくしていた子たちが、私の時となると指示を聞かず授業中もぺちゃくちゃ・・・先生からは、You need to be direct! とアドバイスをもらいました。日本語でどう表せるかわからないのですが、もっと端的に、パッパッと指示を出したりして!ということでした。また、私の声のトーンにも言及されました。トーンが一定だから生徒たちの耳に入っていかない、と。

そこで私は自分が高校生の時に一定のトーンで50分間喋り倒す先生の授業に飽き飽きして当然開始5分で夢の中へ行ってしまっていた自分を思い出しました。私が先生なら絶対こんな一定のトーンで話さないのに。と、生意気言っていましたが、な、ん、と!私がその先生になってしまっていたのではありませんか!カルマです。そういうことは自分に返ってきます。あの時の先生、誰だったかはおぼえてないけど、ごめんね、これ、すっごく難しいね・・・確かに私は今回、言語的に不利な部分があるとはいえ、一つの説明をするのにもだらだらながながと話してしまっていました。担任の先生の話し方を聞いてみると、端的に一言一句はっきりと、トーンに変化をつけて話しています。私も見習って真似してみることにしました。

 

教育実習4週目

この週は木曜日と金曜日が祝日でお休みだったため3日だけでした。さらに、水曜日は映画の日、みたいな感じで午前中はお菓子を食べながら映画を見て午後はアートのワークショップだったので実質2日だけでした。この週の目標は、端的に、はっきりと話すこと、へらへらしないこと、でした。前週に先生から、へらへらするな、と言われたわけではありませんが、優しすぎる、雰囲気が柔らかすぎる、といったようなことを言われました。実は中学生くらいの頃からこのことには気づいていて、中学も高校も部活で先輩になっても威厳がなく、へらへらしているとよく言われ、コンプレックスというかなんというか、自分の中で難しい側面です。でも、我ながらいつもにこにこして明るく柔らかい雰囲気なのは気に入っているし長所の1つだと思っているから、そこをもう少しどうにかしてと言われてしまって少し傷つきました、笑 担任の先生からは、私だって明るく楽しい雰囲気の時はあるし、もともとはそういう性格だけど、先生をするうえでは演じたり性格を変えなきゃいけない時もある、と言われ、そんなもんなのかなぁと思いながらも、4週目はそのことも気にしながら生徒と接しました。

4週目で慣れてきて緊張も少しはほぐれてきたこともあり、端的に、パッパッと話したり指示を出す、という部分は前週よりは少しできるようになりました。そうすると確かに、そんなにたくさんの語彙や表現はいらないことにも気づきました。英語がネイティブじゃない私は初めからこうするべきだったな~と、、、また、へらへらしない、についてですがこちらもかなり気を付けて、別に常に怒ったり険しい顔・雰囲気をしているわけではないけれど、ただずっとニコニコとしているんじゃなくて、表情で伝えたり雰囲気や態度でその場の雰囲気を作る、ということの意味が分かってきました。できるようになったわけではないです笑 これにはかなりの特訓が必要だろうなと思います。私の長所であるへらへらを殺さずになんとか、生徒のお友達、ではなく教師としての役割につけているような気がします。先生から何回も言われました、You're not here to be their friends! You'll be a teacher, an educator!!(お友達になるためじゃなくて、先生に、教育者になるためにここにいるんだから)この言葉とその意味を少しは理解し、実行できたことが4週目の学びだったかなと思います。

 

教育実習5週目

さて、5週目は最後の週で明日から始まります。残り3日間です。明日は大学のこのコースの担当の先生が授業を見に来ます。最後に振り返りレポートも書きますが、実質この先生が授業を見に来るのが試験、という形になるそうです。緊張は少ししますが、これに関してはそこまでの緊張はしていません。緊張するとしたら、明日生徒たちが理解出来たり、一つでも何か学んだり気づいたりすることができる授業を行うことができるかどうか、です。

今週の目標は、総括として今までの反省などすべてを生かして実習することです。本当に生徒のためになることをする、機嫌を取ろうとしない。柔軟に対応できるように想定し、準備する。端的に指示を出す。声のトーンに変化をつける。時間配分に気を付ける。教師を演じる。などなどが目標です。

また、英語に気を取られず、英語の先にあるもの、「生徒」を意識して行動することを忘れずに、残り3日間、頑張ります(*^^*)

 

インターナショナルスクールでの教育実習#2:国際バカロレア(IB)って?

現在スウェーデンに留学中、かつ現地のインターナショナルスクール(インター)で教育実習をしています。そのインターと日本の学校との違いなどを記す前に、今回はそのインターで行われているプログラムについて、説明してみたいと思います!(といいながら、私自身が勉強したかっただけです、お付き合いください笑)

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国際バカロレアとは

まず、端的に言うと国際バカロレア(International Baccalaureat, IB)とはスイスのジュネーブに本部のある国際バカロレア機構(International Baccalaureat Organization)による、「国際的な」「世界共通の」「教育的カリキュラム」です。

通常、教育のカリキュラムはそれぞれの国や地域によって違います。日本では学習指導要領が約10年に一度改定され、教育基本法第一条に記されているいわゆる「一条校」は私立であっても公立でもこの指導要領に従うことになっています。このように、日本には日本の、違う国にはその国の、また国によっては地域ごとに異なるカリキュラムが設けられそのカリキュラムに従うことになっています。そういった今まではその国、その地域独自であったカリキュラムから、世界中で共通するカリキュラムを作ろうという動きが、国際バカロレアということができます。(最近は日本でも一条校として国内の高校を卒業したということになるIB校が増えてきています。)

ですが初めから世界共通のカリキュラムを作るぞ!という目的だったわけではないようです。 1960年代にはやくも、暗記や詰込み型で画一的な一方通行型の従来の教育から、批判的思考を養い生徒の主体性や選択といった、生徒に焦点を当てた教育への移行が世界の一部では教育のトレンドとなっていたそう。ここには、Learning by Doing で知られる John Dewey (デューイ)、自由教育を提唱した A.S. Neil (ネイル)、Constructivism(子供は自分で経験や実験を行いながら知識を構成していく)や4つの発達段階を提唱し言語教育でもキーパーソンである Jean Piaget(ピアジェ)、そして発見学習を提唱した Jerome Bruner(ブルーナー)らが影響を及ぼしていたそう。こういった教育の考え方の変化を取り入れ、生徒中心型の教育を行っていこうという目的でIBは設立されました。

IBのミッション

The International Baccalaureate® aims to develop inquiring, knowledgeable and caring young people who help to create a better and more peaceful world through intercultural understanding and respect.

IBは異文化理解と尊重を通して、より良い世界を作るために探求心、知識、思いやりの心を持った若者を育成することを目的とする

(中略)

These programmes encourage students across the world to become active, compassionate and lifelong learners who understand that other people, with their differences, can also be right.

IBプログラムは世界中の児童・生徒が他者やその他者との違いを理解した、積極的で共感の心を持った生涯にわたる学習者となることを促す

というのがIBのミッション・理念だそう。

 

IBの学習者像(Learning Profile)

そして、そのミッションはより具体的に「学習者像」として記されています。IBが目指す学習者像は勉強で成功することだけでなく、社会的スキルなど多くの人間的な側面と責任を備えています。

Inquirers(探求する人)

Knowledgeable(知識のある人)

Thinkers(考える人)

Communicators(コミュニケーションができる人)

Principled(信念を持つ人)

Open-minded(心を開く人)

Caring(思いやりのある人)

Risk-takers(挑戦する人)

Balanced(バランスの取れた人)

Reflective(振り返りができる人)

探求する人、知識のある人、などは学習における学習者像ととらえることができますが、残りの学習者像は「人として」大切な要素を含んでいますね。

 

IBのプログラム

IBは当初ディプロマプログラムという日本でいう高校生相当のプログラムのみでしたが、3~19歳の子どもたちに連続的なプログラムを提供するために、現在は3つのプログラムがあります(正確にはもう一つ、Carrer-related Programmeキャリア関連プログラムがありますが今回は省略します)。どのプログラムでも先述したIBのミッションや学習者像が共有されていて、人間的な成長や批判的思考、課題発見・解決能力などの学習スキルを促すように設計されています。

PYP Primary Years Program(プライマリーイヤーズプログラム)

年齢:3~12歳

特徴:探求型学習、6つの探求、教科横断型学習、生徒中心型学習(Student-centered)

生徒自身が自分たちの学習の「主体」である、というのがPYPの前提です。この「主体」という言葉、英語では Agents となります。日本語での主体という言葉に加えて、責任を持つことなども含まれているように感じます。自分で自分の学習をコントロールし、自分で学習に対して責任を持つ、といったところでしょうか。

そして、探求のテーマには、

私たちは誰なのか
私たちはどのような時代と場所にいるのか
私たちはどのように自分を表現するか
世界はどのような仕組みになっているのか
私たちは自分たちをどう組織しているのか
この地球を共有するということ

の6つがあります。これらのテーマのもとに、言語、社会、算数、芸術、理科、体育の6つの教科を横断的に学習します。

MYP Middle Years Program(ミドルイヤーズプログラム)

年齢:11~16歳

特徴:学習と現実社会を繋ぐ、8つの教科

MYPでは探求を通して、主体的で国際的な思考や批判的思考を併せ持った生徒の育成を目的としています。8つの教科は、言語習得、言語と文学、個人と社会、科学、数学、芸術、保健体育、デザインから構成されています。これらの中から二つ以上の教科を統合した学際的な授業時間を毎年設けることになっているそう。また、グループや個人で長期的な探求学習のプロジェクトも行うみたい。そういった学習と、社会とのつながりを意識したプログラムになっているそう。

DP Diploma Program(ディプロマプログラム)

年齢:16~19歳

特徴:知の理論(Theory of Knowledg: TOK)、課題論文、創造性・活動・奉仕

DPことディプロマプログラムはIBの中でも一番最初に確立されたプログラムです。16~19歳が対象ですが、その中で2年間のプログラムとなっています。特徴で挙げた3つのコア科目と6つの教科からなるカリキュラムです。この中でも特に、知の理論はDPの特徴的な科目だと思います。詳しくはまだ私も勉強中ですが、DP出身の方曰く、「知識とは何か」を問い、「私たちはどうやって知るのか」を学ぶそう。そこにある知識をただそのまま、はいはい、と受け入れるのではなく、その知識は誰が作って、発見して、どこから来たのか、そして私たちはその知識をどのように知ったのか、などを学習するよう。そしてDPでも探求型学習や教科横断性が重視されているそうです。

また、DPを終了し試験に合格するとDPのDの部分である、ディプロマ、証明書を得ることができそれらは世界中の様々な大学で入学試験の代わりや一部として使用することができます。

 

ISGRの場合

そして私が現在実習を行っている学校であるISGRにはPYPとMYPが、系列校の高校ではDPのプログラムがあります。私はPYPで実習中でMYPやDPについてはわからないので、ISGRでのPYPについて考察してみたいと思います。

 

全体的な雰囲気

ここまでIBの理念や学習者像、各プログラムの特徴などについて軽く書きましたが、ISGRでは全体的にこれらの特徴がとてもよく共有され普及しているという印象です。すべての学びや教師の生徒への接し方などがIBの理念に基づいているということが一目でわかります。教室中のいたるところに、学習者像やIBの学びについてだったり、探求のキーコンセプトや探求の流れなどについてが小学生にもわかりやすいように掲示されています。生徒たちもそれを理解していて、自分たちで学習する際にそれらを意識して問いを立てたり調べたりする際にキーコンセプトなどに基づいて行っています。

例えば、キーコンセプトの中には、Form(形)、Function(機能)、Conncection(繋がり)などがあり、生徒たちが調べ学習をする際などに、その対象の形は?機能は?私たちとの繋がりは?などのような問いを立てそれに基づいて学習している、といった感じです。

このような感じで、IBの理念や学習者像、カリキュラムといったものがただの理想や形骸化されたものではなく、学校やクラス、授業の1つ1つ、日々の生活の一つ一つに定着している、それらをもとに活動が形成されているというのが全体的な印象です。

 

学習者像

上記で挙げた学習者像もしっかりと教師の間、生徒の間で共有され理解されています。すべての生徒がこの学習者像のようにふるまうことができているわけではなりませんが、「像」としてゴールがあることで先生方も生徒がそういったゴールに近づけるように関わっている印象を受けています。

また、この学習者像があるからでしょうか、礼儀正しく、優しく、相手を尊敬できる子どもたちが多いようにも感じています。海外の学校だし、私はちんちくりんなアジア人だし、なんかすごいバカにされたりするのかな…なんて不安がありましたが、そんなことはなく、私の関わっている生徒たちは8‐9歳ですが、とてもしっかりしている印象の子たちが多いです。

探求型学習(Inquiry-based learning)

上記で挙げた探求のテーマに沿って探求学習を行っています。ISGRでは一日のうちに必ず探求学習の時間があります。私が実習している3年生は「世界はどのような仕組みになっているのか」という探求テーマのもと、宇宙について学習していました。ですが、IBのPYPが探求型学習をもとにしている、といういみでの探求学習はこの探求の時間だけでは終わりません。

言語の時間(日本でいう国語にあたる)で取り上げるトピックも宇宙について。生徒たちは今まで調べたことをレポートという形でまとめて書いていました。音楽の時間には生徒たちが調べた宇宙についての知識を使って歌詞を書き、メロディを作り、レコーディングまでするという!なんともハイテクです。このように、その時期の探求テーマに合わせて、すべての教科が連動しながら、教科を横断しながらそのテーマについてを探求・学習したり、そのテーマに基づいた学習を行います。

日本でも小学校だと担任がすべての授業を持っていたりするため、中高に比べて教科横断的な学習は行いやすいかと思いますが、ここまで一つのテーマに基づいてすべての学習が行われている、行うことができる、ということにとても驚きました。

 

Student-centered

Student-centered(生徒中心の学習)、と聞くと何を思い浮かべますか?生徒だけで勉強していけるわけないだろ、結局そんなの理想でしかない、私もそう思っていました。ですが、IBを実践しているISGRではそれが実際に起こっているのです!あくまで学びの主体は生徒であり、教師はファシリテーター、生徒たちの学びをサポートしていく人、といった要素が強いように感じます。もちろん、カリキュラムや一年を通して勉強することは決まっており、教師が授業を設計し行っています。ですが、その枠組みの中で、生徒はとても自立した学習者であると感じています。

例えば算数の時間、私の担任の先生は分野ごとに毎回生徒を能力別のグループに分け、「先生と学ぶ時間」「教科書で学ぶ時間」などを一コマの中で2回ほどローテーションしています。そうすると、先生と学ぶ時間以外の生徒たちは自分で学習することになるわけですが、みんなその日にやることを自分で確認して(これは先生が決めています)、持ち場について黙々と(たまにうるさいときもあるけど)自分のやることに向かっています。

また、探求の時間には調べ学習をして発表する、というタスクがあればみんなそれぞれ問いを立てて、その問いに基づいて調べたり学習したりしているのです。びっくりでした。Google slide や documentを使いこなすのもお手物といった感じで、生徒間で共有して編集していたり、画像や動画を埋め込んだり。あくまで先生は手助けするだけ、といった感じです。

確かに先生が前に立って説明したり、指示をしたりするような時間もあります。ですがそれもあくまで先生は前にいるだけであって、生徒と一緒に作り上げる授業であることに変わりありません。生徒中心型の学習・教育、というのが徹底されていると強く感じます。

 

 

でも、私は久しく小学校という環境には携わっておらず、自分が小学校を卒業してからもう10年ほどが経ちます。もしかしたら、日本の子どもたちのデジタル技術を扱う能力もすごく発達しているかもしれないし、日本の小学校にもいいところやびっくりするところがたくさんあるかもしれないと感じています。日本に帰ったら小学校の時の先生にお願いして見学させてもらおうかな~なんて考えていたりもするので、ご報告できたらいいなと思っています!

 

 

出典

The History of the International Baccalaureate Program

History of the IB Program | IB School Los Angeles | Chatsworth Hills

インターナショナルスクールでの教育実習#1:1週目を終えて

現在スウェーデンに留学中の私ですが、インターナショナルスクールでの教育実習を行っています!今回の記事では、インターナショナルスクール、略してインターでの実習の1週目が終わったので、その感想やそもそもの教育実習を行うことになった経緯などをお伝えしたいと思います。(と言いながら、自分の振り返り用として記録したいだけです、お付き合いください笑)

 

大学のコース

私は現在ヨーテボリ大学に留学中なのですが、なぜに教育実習?と思われる方もいらっしゃるかと思います。実はこの実習は大学で開講されているコースの一つなのです。Teaching Practice for Exchange Students (留学生のための教育実習)というコースで、現地の学校(スウェーデンの学校、もしくはインターナショナルスクール)で20日間の教育実習を行います。

私はスウェーデンの教育を実際に見てみたいという思いが強かったためこのコースを履修することに。なのでスウェーデンの学校での実習を希望していましたが、スウェーデン語のできない留学生を受け入れることは難しいらしくインターでの実習となりました。履修要件として、十分な英語力、自分の国での教職課程履修が定められていますが、どちらも厳格には確認されませんでした。ですが、教育を学んでいることやこれから教師になる予定がない場合、実際に学校に行って「何しに来たの?」となってしまうと思います。現地の学校の先生方も忙しい中受け入れてくれているため、経験はなくとも、最低限意志や予定がない場合は失礼になりそうです。

 

このコースを履修した理由

スウェーデンの教育を実際に自分の目で見て学びたい、というのが一番の理由です。これは私の留学の最大の目的だったため、このコースだけは絶対に履修したいと思っていました。

また、私は昔から日本の教職課程(中高)では必修の実習が1回、それも2~3週間しかないことに疑問を抱いていました。経験が足りなさすぎると思っています。なので、できるだけ多くの、幅広い経験を積むため、というのがもう一つの理由です。教師として人として多くの経験を積んでから先生になりたいため、卒業後は一度就職し、その後大学院へ進み第二言語習得について学び(できれば実習もたくさんしたい)、それから教師になる計画を立てています。

自分が中高生だった時に、ずっと「学校」という枠組みにいる先生に「社会に出たら~」などと言われても反抗期の私にはまったく響きませんでした笑 もちろん、学校で働くことだって立派な社会人としての経験だし、素晴らしい先生はたくさんいます。でも私は、いろんな「世界」を経験した先生になりたいなって。一人くらいそんな先生がいてもいいんじゃないかなって思うんです。ほとんどの中高生にとって日常的に触れ合う大人は家族か教師くらい。ただでさえ狭い世界で生きている彼らにとって、「世界」は広いんだよ、教室だけがすべてじゃないんだよってことを、口だけじゃなくて私の生き方を通して汲み取ってもらえるような、そんな人になりたいなって思ってます。だから留学もそんな先生になるために決めたことで、この実習も将来の私にとって、将来の私の生徒にとって、きっといい経験になると思って決めました。

 

インターナショナルスクールってどんなところ?

現在私は、International School of Gothenburg Region (以下ISGR)というインターで実習を行っています。ヨーテボリにはいくつかインターがありますが、スウェーデンのカリキュラムだけを実施している学校もあるそう。日本では日本の学習指導要領に沿っていないインターは一条校として認められず、卒業しても日本での義務教育や高校教育を受けたことならないことが多いです。大学受験の際には受験資格として認められない場合もあります。このようにインター、と言ってもすべて同じではなく学校ごとや国ごとなどで違いや特色があるので定義することは難しいです。

ISGRは国際バカロレア(International Baccalaureate: IB)というプログラムと、スウェーデンのカリキュラムを実施する二つのセクションがある学校です。IBは幼稚園生~中学生まで(系列校に高校もあります)、スウェーデンのセクションは幼稚園生~中学生までで高校はありません。スウェーデンではインターも学校として扱われており、そこで教育を受ければ義務教育を受けたと認められます。スウェーデンは教育費が無料で、私立大学なども基本的にスウェーデン国籍があれば無料ですがISGRの場合経営の都合上からか、年間日本円で50万円ほど。確かに高額ですが、一般的に日本のインターは年間150万円かそれ以上、アメリカの私立高校なんて250万するところもあります。なので、インターにしては安いと思います。

そしてISGRには様々な背景を持つ生徒たちが通い、そこでは世界中から集まった先生方が教えています。私のクラスの担任の先生はオーストラリアの出身でアシスタントの方はカタールの出身。クラスの子どもたちの出身は、インド、中国、フランス、イギリスなどと様々ですが、学校全体でもインド出身の子たちがものすごく多い!ヨーテボリに車メーカー・ボルボの本社があることが関係しているそうです。

また言語ですが、IBクラスの公用語は英語。英語ができない子にはESL(English as a Second Language: 第二言語としての英語)の時間が設けられています。お家では違う言語を話す子たちが多いので、みんなバイリンガルもしくはマルチリンガルです、素晴らしいですね。カリキュラムはIBに則っているので詳しくはまた今度お伝えします。

isgr.se

 

1日の流れと私が行うこと

私はIBプログラムの3年生のクラスで実習を行っています。日本の学校のように1~6時間目、といったような時間割はなく、日によって、教科によって1クラスの長さが違うこともありますが大まかな時間割はあります。

1週目はとりあえずなんとなく見学して、ちょっと生徒を手伝ってね、といった感じでした。ですので、基本的に先生が授業を行うのを見て、生徒の間をまわり、困っている子がいればサポートする、といったようなことを行いました。2週目からは少しずつ朝のミーティングなどの活動や授業などを私も実際に先生として行っていきます。

どんな教科や授業が行われているのか、生徒の様子や先生の接し方などはまた別記事で!

1週目を終えての感想

緊張、楽しい、緊張、楽しい、緊張、疲労疲労疲労

というのが1週目を終えて感じていることです、(語彙力笑)。まず、やることをよく知らされないまま、知らないところに行って、知らない人たちに囲まれて1日を過ごすというだけで緊張と疲労が半端ないです。そして、英語!!!!私はここ数カ月、「緊張すると英語が話せない症候群」に陥っているので、緊張してなかなかうまく話せませんでした。それにそもそも、小学3年生の言っていることなんて日本語でもよくわからない時があります。加えて小さい声でぶつぶつと話すので聞き取ることができず、なんてところに来てしまったんだ!というのが正直な感想です。自分の英語力のなさに愕然として震えています。

ですが、それと同時にとっても楽しい!スウェーデンに来てから週に1、2回授業があるかないか、といった生活でのんびりするのが好きな私でも、実のところかなり前からこの留学に飽きてしまっていました。それが一転、毎日朝8時に学校に行き、15時までを過ごし、毎日生徒たち、先生たちと会います。やることができて、行く場所があって、別に必要とされているわけではないけれど、なんだか居場所ができた感じがして、すごく楽しいです。

そしてやっぱり私は教育というものに携わっている瞬間が最高に楽しくて大好きなんだなって再確認できています。確かに緊張するし、今までのゆるゆるスウェーデン留学生活から「普通」のルーティンのある生活になってどっと疲れているけれど、良い疲れです。やりきったーっていう(まだ大して何もしてないけど笑)、とってもいい疲れです。毎日学びと反省があって、明日はこうしてみようって、明日へのいい緊張と楽しみがあって、大げさだけど毎日を生きるのが楽しくなりました。

一緒にこのコースを履修している他の学生ともスタッフルームや実習終わりに会うことが多くて、それぞれのその日の経験を共有したり、それぞれの国の教育と比較したり、そういった話ができて本当に楽しいです。私今スウェーデンに来て一番楽しい。英語は全然話せないし、迷惑をかけているかもしれないし、子どもたちからは変な人、って思われているかもしれないけど、私、本当に心から楽しんでいます。

ISGRにいる先生や職員の方は本当にいい人ばかりで、私のメンターをしてくれている先生もとってもいい人です。今は年度末とっても忙しそうでまだあまりお話ししたりはできていませんが、とにかくいい人です。初めに生徒に私のことを紹介する際は、私の第一言語が英語ではないから生徒がはっきり話さないと聞き取りにくくなってしまうことや、それは私にだけでなく英語が第一言語ではない人と話す時に気を付けなければと伝えてくれたり、私に対しても、その先生は私を評価をするのではなくサポートをするためにいるから失敗などしても気にしすぎなくていいと言ってくれたり。私自身が、人からどう思われているのか、というかその人にとって自分が邪魔な存在になってないかな、迷惑かけていないかな、ということを気にしてしまう性質なので彼女に対してもそのことを気にしてしまってまだかなり緊張しているのですが、とにかくいい人だし、とても素敵な先生です。

クラスの子どもたちも最初は警戒している感じでしたが、今日5日目を終え、名前を憶えてくれる子も増えて話しかけてくれる子もぼちぼち!とっても嬉しいです。今日は授業で校舎の外に行ったのですが、先生が私を除く他の先生二人に従ってねと指示をした時に、私のことも指さして彼女もいるよ!!と混ぜてくれたことがとっても嬉しかった(*'▽') みんな私の酷い英語に耳を傾けてくれています、ありがたい、よし来週はこの感謝を伝えたいと思います。子どもたちについてもまた詳しく別記事で書こうと思います。

そんな感じで、私は今とっても楽しいです。人と会ったり遊んだりするもの楽しいけど、私はあんまり外向的じゃないから疲れてしまうことの方が多くて、心から楽しいって思えないことが多いです。でも何かを学んでいるときや自分の成長を感じられるとき(まだ成長してないけど、笑)、何かに一生懸命に打ち込んでいるとき、そんな時が一番「楽しいっっ!!」って感じます。1週目を乗り越えられたから、2週目も大丈夫だと思うし、3週目も、4週目も大丈夫だと思う!これを乗り越えられたら、英語も少しは伸びると思うし、将来の教師としての経験値も上がると思うし、帰国してからの教育実習にも耐えられると思う!頑張ってるよ私!と自分を褒めよう。

高校の時の恩師が、水球選手は水の中で鍛えるから陸に上がった時にその何倍も強さが発揮されるっていう例え話で自分に負荷をかけることの大切さを教えてくれましたが、私は今本当に水の中にいて負荷をかけている感じです。これが終わって陸に上がって、つまり日本に帰ったらきっと成長を感じられると思います。楽しみ。失敗ばかりでなかなかうまくいかないけれど、我ながら何かに挑戦している自分はかっこいいと思うしそんな自分は好きだなって思ったり。頑張って自己肯定して甘やかしながら、いろんな人に迷惑はかけるかもしれないけど、何てったって私は今水の中でもがいているのだから、そんなに自分を責めすぎず溺れない程度に、気楽に乗り切ろうと思います。

スウェーデン留学記⑮:スウェーデンで教育実習へ!

今日は5月1日、国際的に「メーデー」として労働者の権利を主張する日としてヨーロッパはじめ各地で集会などが開かれているそう。日本でも大規模なイベントがあるみたいですが、私は知りませんでした… スウェーデンでは5月1日は祝日で労働者の権利を訴えるイベントやデモが行われているそうです、平和的に。私はイベントに赴いていないのですが…

そんなこんなで5月になり、私の留学も残り1カ月ほど。今回はこれから始まる授業についてお話しします!

スウェーデンの学校で教育実習

現在春学期後半ですが、2つのコースを履修しています。一つは Sustainable Development Educationで持続可能な社会と教育の関連についてのコース、そしてもう一つは留学生向けに開講された、現地の学校で実際に教育実習を行うコースです。このコースは明日から始まり、合計で20日間、朝8時から15時まで現地の学校で実習を行います。現地の学校とはいえ、ほとんどの留学生はスウェーデン語を話すことができないため、現地のインターナショナルスクールでの実習です。

スウェーデンでは教師になるためのプログラムには20週間の実習が義務付けられていて、VFUと呼ばれる実習校が一人ずつ確保されます。

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留学生はスウェーデンで先生になるわけではありませんが、そういった実習ベースの教育というものに則ってか、実際に実習に赴くことができます。

私が今回実習をさせてもらう学校はヨーテボリにあるインターナショナルスクール、International School of Gothenburg Region (ISGR) という学校です。普通のインターがどんな所かよくわかっていませんが、それでもこの学校は特殊だなと思います。インターナショナルスクールのコースと、スウェーデンの学校のコースの2つのコースを持つインターナショナルスクールらしいです。インターのコースは国際バカロレア(IB)のプログラムを実施しており、小学校・中学校~高校まで併設されています。スウェーデンのカリキュラムを実施しているコースは1~9年生(小学校・中学校)までがあるそう。私は今回IBコースの3年生の教室に入るそうです。

実習が始まる前に大学での説明や練習などがあるのかと思いきや、いきなり学校に行かされるそうで、正直いろいろとよくわかっていない状態です、笑 1週目はまずは学校のスケジュールや教室になれることから、2週目からは実際に授業をするとのこと。私はICUで教職課程を履修してはいますが、教育実習にはまだ行っておらず、はじめての実習になります。なのでとても緊張している、というのが正直なところです。

また、インターナショナルスクールということで言語はすべて英語。そして子どもたちの中にはネイティブもたくさんいるはず。ということで、自信の英語力のなさにもビビり散らかしています。緊張で胸がバクバクです!笑

でも、子どもたちと関わることが大好きで、教育に関わることも好き。そして、現地での実習というのは、スウェーデンの大学を選んだ一番の理由と言っても過言ではありません。やらなくてもいいことだから、このコースを履修する前は「やっぱりやめようかな…」なんて思ったりもしました。でも、これだけは絶対にやって帰らなければ、自分に示しがつかない!と自分を奮い立たせてこのコースを履修することに。だから、緊張や不安が半端ないけれど、これだけは後悔したくないから、少しだけ頑張ってみようと思います。

最近見ていた Emily in Paris (エミリーパリへ行く)というNetflixのオリジナルドラマがあるのですが、そこでエミリーという主人公はフランス語ができないのにパリの会社で働くことになって、言葉の壁を乗り越えながら活躍していくんです。確かにそれはフィクションですけど、言葉がうまくできなくなったって、自信をもって自分にできることをしていれば、人は輝いて見えるし活躍できるんだなって、なんだか勇気をもらえました。果たして私にそれほどの力量があるのかはわかりませんが…笑

だから、英語ができない、恥ずかしい…とあまり卑屈になりすぎず、持ち前の笑顔で楽しく子どもたちと関わって実習できたらいいなと思っています。(笑顔だけが取り柄です、それ以外見当たらないけど、、)世の中には英語ができない人もいるんだぞ!っていう多様性を学んでもらおうと思います、笑

振り返りの意味もかねて、この実習の様子などをここでお伝えしていけたらいいなと思います!

ではまた、Hej då!

スウェーデン留学記⑭:春学期の前半を終えて(後編)

春学期の前半を終え、授業の感想を綴っていましたが長くなってしまったので今回はその後編です!

前編はこちら↓

hanamaru5.hatenablog.com

 


授業全体の感想

授業の内容で印象的だったことなどは記しましたが、授業を受けてどうだったのよ!?という肝心なことに触れていませんでしたね(^^ゞ

結論から言うと、このコースを履修してとっても良かったなと思っています。理由としては、現地の教職課程を履修できたとても貴重な機会だったということが1番大きいです。スウェーデンで教師になるわけでもないのに、現地の将来の先生と一緒にスウェーデンの教員養成プログラムに参加できることってなかなかないだろうし、良い経験になったなと思っています。

スウェーデンの英語教育を学ぶこと、は私の留学目的の一つでもあったのでかなり達成できたかなと思います。スウェーデンの英語教育で日本では重視されていない点だったり、まったく新しい視点だったりを学ぶことができたのはもちろん、思いがけず高等教育や教員養成の仕組みについても気づかされることがたくさんありました。

そして何より、ほとんどがスウェーデンの学生という中に混ざって授業を受けることができたので本当の意味で「留学」することができました。スウェーデンの大学で英語開講されている授業はヨーロッパからの学生が多くスウェーデン人がほとんどいません。もちろんいろんな国の学生と学ぶことも留学の醍醐味ですが、せっかくスウェーデンに来たのだからスウェーデンの人と学んでみたいなとも思っていました。なので、100人くらいの中に留学生が私含め2人だけという環境でスウェーデンの人たちに混ざって学ぶという経験ができたことは、留学というコンテクストでは当たり前のように感じますが実はかなり貴重な経験でした。

授業の雰囲気

授業の雰囲気はアカデミックというよりは、職業訓練的な雰囲気がありました。日本での教員養成には、「教員養成の開放性」という原則が適用され、教育大学や教育学部以外でも教職課程を履修できることになっています。そのため私も実際はICU教養学部に在籍していますが、教員養成課程を並行して履修することができています。

ですが、スウェーデンの大学では、教員養成のプログラムに入学した人でなければ教員の資格を取得することはできません。そして、日本の教職課程では教授法などの授業よりも、教育の歴史や制度だったり理論などを学ぶ授業が多いように感じていますが*¹、スウェーデンでは基本的に「教授法」を学ぶ実用的な授業が多いように感じました。

*¹もちろん文科省が履修教科と大まかな内容が文科省に定めているとはいえ、大学によって内容は変わってきますし、より実用的な内容をお行っている大学もあるかと思います。

また、スウェーデンの教員プログラムではVFUという仕組みがあります。これは、Verksamhetsförlagd utbildning (Work-based education)の略で、教職課程の生徒それぞれに一校、VFUの学校が割り当てられ、実際に学校で働きながら、実習を行いながら学ぶという仕組みです。期間としてはプログラム履修中に合計で20週間その学校で勤務するため、プログラム全体の長さにもよりますが全体が4年だと毎年1カ月ほどの教育実習が4回あることになります。Learning by doing、実際にやってみてそこから学ぶ、という側面がとても強いように感じます。日本では高校教員の場合最低2週間の実習だけで先生になれてしまいます。私は中学、高校生くらいの時から、実習期間の短さを問題視していたため、スウェーデンの仕組みはとても魅力的でした。(もちろん、全期間を通じて教員プログラムに在籍するからこそできることですが、、)こういったVFUの存在からも、スウェーデンの教員養成では実用的な部分が重視されていることがわかり、アカデミック・学術的というよりも職業としての教師という認識が強くある要因感じました。

ですが、授業の中でまったくアカデミックな要素がないか、というとそういうわけでもなく、講義があってディスカッションしたりグループワークをしたり、エッセイを書いたりと大学としての学術的な部分もしっかりとありました。ただ、アカデミックライティングやプレゼンテーションを行うためのワークショップがとても念入りに用意されていて、生徒も真剣に聞いていたり基礎的な内容でも初めてそれを知る、といった様子もありました。もちろん、その授業が英語で開講されていたため、英語でのアカデミックな要素について触れるというのは初めてだったかもしれませんが、それでも念入りにワークショップが組まれていたことに驚きました。そのためやはり、アカデミックな部分は普段のプログラム全体としてはあまり扱っていないのではないかという印象も受けました。

成績について

それもあってか、エッセイなどのライティングや試験はVG(Väl Godkänd/ Pass with distinction)といっていい成績でパスすることができました。ライティングの課題などはそれほど難しいものではなかったため、文法などの間違いはありましたが構成や内容などに関してはアカデミックな部分をこの3年間の大学生活で身につけてこれているなと実感できました。プレゼンだけはとっても厳しくて、評価基準はすべてGood以上だったのに時間をオーバーしたためFail、落ちてしまいました。でもスウェーデンの大学はやり直しができるので、もう一度プレゼンの試験を受けなおし、G ( Godkänd/ Pass)でパスすることができました。

 

生徒の雰囲気

次に、スウェーデンの教員養成プログラムにいる生徒の皆さんの雰囲気を紹介します。一番印象的だったのは、生徒の方たちの幅広い年齢です。私と同じくらいの年齢の方は少なく、若くても20代後半、上は15歳のお子さんがいるお母さんまでいました。そんなに大きいお子さんがいらっしゃる方は少なかったと思いますが、それでもお子さんがいらっしゃる生徒が多かったのがとても驚きでした。スウェーデンでは教育費が大学・大学院でも無料であるため、いくつになっても学びたい、資格を取りたいと思い立った時に授業を受けられるのですね。聞いてはいましたが実際に目の当たりにするととても驚きました。さらに、先生という職業にそのように年齢を重ねてからもチャレンジできる環境が素敵だと感じました。

もちろん日本でも教師になるための年齢制限を設けている自治体は少なく、通信教育などもあるためいくつになっても先生になること自体はできますが、授業料の関係だったり仕事との関係だったりでなかなか難しい決断かと思います。それが、スウェーデンでは多くの一旦は社会人になった人たちに対していろいろな道が提示されているようです。

スウェーデンでは日本の中学校に当たる7-9年生までが義務教育、その後はAdult Education (大人のための教育)というくくりになり、高校も基礎科目(スウェーデン語・英語・数学など)以外は日本でいう高校と専門学校へ分かれます。高校の中では、経営、IT、人文学、自然科学、音楽などと大学の学部のように分かれ専門的に学び、専門学校では日本と同じように職業訓練が行われます。その専門性もあってか、高校を卒業してすぐに大学に進学する人は少なく、そのまま働いたりする人も多いそうです。教員プログラムの学生の年齢層の広さにはこういった背景もあるのではないかと考えました。

そして、そんな学生たちの授業態度ですが、真面目なのかそうじゃないのかわかりませんでした、笑。もちろんみんな真面目に取り組んでいますが、意外と課題を理解していなかったり、ディスカッションはすぐに終わってしまったり、zoomの時は顔出しをする人が少なくて、何なら犬の散歩をしながら授業を受けている人がいたり。でも、ディスカッションが続かない部分は先ほど説明したアカデミックな部分が薄いことも関係しているかもしれませんが、スウェーデン人ならでは、の部分もあるかと思います。スウェーデン人はかなりシャイな人が多いのです。だから授業とかでも積極的にぐいぐいというよりは、周りの反応を伺いながら、という人も多かったように感じます(もちろん全員というわけではありませんが!)。

また、シャイと言えば、キャンパスでの授業がありながらもたくさん話したりはできないなぁ、なかなか溶け込めないなぁ思っていましたが、スウェーデンの人たちがシャイなだけでした、笑。そういう私もおどおどしていましたが、、99%スウェーデンの学生の授業だったため、いろいろと不安がありながらの履修でしたが、結論、みんなとても優しかったです。最初はオンラインスタートで途中からキャンパスでの授業でした。ですので、授業が終わる頃になってようやく話せる人が増えたり、話しかけてくれる人も増えたりしました。また、いつも話しかけてくれたり少し一緒に勉強してくれた学生もいて、とても嬉しかったです。本当にみんなとても優しかった!

そして優しいと言えば、スウェーデン語のわからない私に英語で話してくれたり、友達同士でスウェーデン語で話していても英語で説明してくれたり英語に切り替えてくれたり、本当に優しいなと。でもなんだか申し訳ないなあと思うときもありました。スウェーデン人とはいえどみんながみんなすっごく英語が得意なわけでなはかったのです。もちろんペラペラの人が多かったのですが、英語が苦手、あんまりうまく話せない、という学生もいました。普段私が会っているスウェーデン人は大学生が多く、大学で英語の文献を読んだり英語で授業を受けていたりもします。そういった大学生に比べたら、教員プログラムにいた学生は英語で授業を受けたり文献を読むことは少なさそうでした。確かにスウェーデン人の英語能力は世界的に見てもとても高いけれど、だからといってスウェーデン人」とひとくくりにしてはいけないなと感じました。それと同時に、いくら英語で生活できる国だからと言ってスウェーデン語をそんなにわからないで暮らしてしまっている私はリスペクトが足りないな~なんて思ったり。もちろん少しは勉強していますが、べらべらおしゃべりをできるほどには全然至っていませんので…それでもそんな私に優しくしてくれて本当にありがたかったです。

そんなこんないろいろあって、勉強だけでなく実際にスウェーデンの学生の学びだったり、授業に対する態度だったりを見ることができて、留学してきた感じがようやく味わえました。授業も週に3回以上あって、毎日ある週もあったりして、あー私今、ちゃんと大学生してるなって久々に感じられたりもしました。(ちなみに春学期後半の今履修している授業は週に1回しかありません、笑)とても貴重な経験ができて、ようやく、はじめて?留学してきてよかったなって勉強の面で思うことができました。

もし現地の教員養成プログラムが英語で開講されているのであれば、教育に興味があって留学される方はぜひ履修してみることをお勧めします!

 

 

英語が話せなくてつらい

こんにちは、お元気でしょうか、私は打ちのめされています・・・自分の英語のできなさに・・・

タイトル通りです。英語が話せなくてつらいです。留学してきて半年以上たつ人がブログにつけるタイトルではありませんね笑。一つ悩みが去ればまた一つ悩みが増えて。悩みは尽きなくて。私はここにいる間の2/3以上を帰りたいって思いながら過ごしてます。帰りたくないって思ってたのは最初の2カ月だけでした笑

偉そうにICUでの英語学習のこと記事にしましたけど、、、

hanamaru5.hatenablog.com

確かにここに書いてあることは嘘じゃないんです。リーディング、リスニング、ライティングはできるんです。相手の言っていることや教授の言っていることはほとんど理解できるんです、でも話せないんです。

言いたいことが全く言えなくて。

原因は多分2つ。緊張のし過ぎと考えすぎ。

最近人に会って話すということがとっても怖くて、英語以前に人と会うこと自体が緊張します。そして英語を話そうとするともう緊張してがちがちになって全然話せません。英語がうまく伝わらないだろうな、今日はしっかり話せるだろうか、大丈夫かな、、、という緊張もあります。多分相互補完的な感じで、英語できない<=>人に会うのが怖い、が影響しあっている感じです。

もう一つの原因は考えすぎていること。前までは何も考えずに英語「で」話していました。今は考えすぎています、英語「を」話さなきゃ…って。前までは文法の正確さとか全然気にせず話していました。最近はもっと正確に話したい、そう思えば思うほど頭の中で英語「を」話さなきゃって考えてしまって、結果として全然話せません。

だから緊張していない時、もう何回も会っている友達やお互いのことを知っているような友達と一緒の時は緊張しないし、考えすぎないのですらすら英語が出てきます。もちろんすらすらと言ってもネイティブレベルでは全然ないし、中級と上級の間くらいではありますが。

まあまあすらすら話せる自分がいることをわかっているからこそ、緊張しすぎたりして上手に話せなかったときに、嫌になります。「私もっと話せるのに・・・」とか、きっと「こいつ何言ってるかわかんねぇ」って思われてるんだろうな、とか考えてしまって。

最近はもう寝ているとき以外ずっと自分が英語できないことを考えてしまって、なんなら英語ができないことを考えすぎて眠れない時もあったりして。もちろん何もしていないわけではありません。いろいろしています。それについてはまた。でもどれだけいろいろしても、準備していっても、緊張して怖くなって酷い英語しか話せなくて、何も伝わらなくて、、、

コミュニケーションの楽しみ、みたいなものとか会話が成功する喜び、みたいなものとかをここ最近体験できていないのかも。もう本当に人と話すのが怖くてしょうがない。あんなにおしゃべりが大好きで歩くスピーカーの別名を持つ私なのに、もう本当に最近は話すのが嫌。

日本語でも緊張すると全然話せなくなってきちゃって。オンラインで初めて話す人と話したときなど緊張しすぎてしまって、うまく話せなくて「日本の方ですよね、?」って聞かれてしまいました笑。

今日も人と会ってきたのですが、自分のペースをつかめないと全く話せなくて、多分何も伝わっていなかったと思うし、一つも正しい英語がなかった。ひっどい英語を話していたなぁ・・

考えれば考えるほど、「私は英語ができない」「私はだめなやつだ」「私は落ちこぼれだ」「私はこの世界で一番だめなやつだ」っていう烙印を自分で自分に押してしまって、アイデンティティさえ変わっていきそうです。せめてそういう風に考えることは辞めていきたい。「大丈夫、落ち着けば話せる、大丈夫」そう思い込ませていきたいですね。

はー---怖い。英語を勉強し始めてからもう10年以上たつけれど、英語を話すのがこんなに怖くて嫌になったのは初めてです。英語を話すっていう意識じゃなくて、英語で話したいことを話すんだっていう、そういう心持ちでいられたらいいな・・・ここにいるのはもう少しだから、とりあえず、頑張ります。

 

ICUに入ると英語ができるようになるのか!?~ELA編~

明日から新年度!一足早いですが、新入生の皆さんご入学おめでとうございます。楽しみもありつつ、不安もいっぱいですよね。みなさんの大学生活が素敵なものになるように願っています。

さて、国際基督教大学ICU=英語に強い、みたいな謎の等式が皆さんの頭の中にあるのでしょうか?

ICUに興味のある方の中には英語が好き、帰国生、留学経験ありなど英語や外国語に対してポジティブな方も多い中で、ICUの環境で、リベラルアーツの大学で学んでみたいけれど、英語が全然できなくて不安…という方も多いかと思います。

結論だけ言うと、英語が出来なくても入学できるし、入って大丈夫です!

ICUの特徴的なプログラムであるEnglish for Liberal Arts 通称ELAについてはこちらをご参照ください!)

hanamaru5.hatenablog.com

今回は現在3年生(あ、もう4年生…)かつ留学中の私が、ELAを終えて実感していることについてお伝えします!

 

ICUに入る前の私

留学経験なし、海外生活経験なし、親は英語学習どころか勉強にあまり興味なし笑、おまけに地方出身という環境で育った私ですが(いわゆる「純ジャパ」というやつですね、この表現に対する話についてもELAについての記事↑をご覧ください)、ICUに入る前から英語は好きで、自信もそれなりにありました。

英語学習の経験としては、10年間公文式での学習、高校3年間英語科での学習があります。英会話には通ったことがなかったため、主に高校での経験がICUに入る前の自信に繋がっていたと感じています。

高校の英語科では文法以外の英語の授業はほぼオールイングリッシュでした。英語を学ぶだけでなく英語で世界の文化や宗教を学んだり、社会問題を学び議論し、スピーチをしたり、エッセイを書いたりしました。受験前の忙しい時期でも2~3カ月かけてディベートを行うなど、英語に偏った3年間を過ごしました。

もちろん、授業以外の時間でも、ドラマや映画を英語字幕で見始めたり、ニュースを見る(これですね、CNN 10 - CNN)、英検やTOEFLのために勉強するなど自分でも英語に多くの時間を割いていました。

その甲斐あってか、完璧では全くありませんでしたが、英語学習そのものが大好きで、英語に対する恐怖心などさほどありませんでした。

 

Stream 3 での授業

少しは自信があった私なので、春学期の授業は少し簡単に感じていました。ライティングも基礎からなので、もう知ってるよ、とか生意気に思っていました、(←本当に生意気です、あとで痛い目を見ました笑)。裏を返せば、しっかりライティングの基礎やリーディングの基礎を叩き込まれるので英語でのライティングの経験がない人でも大丈夫です。

ですが一番大変だったのもまた、ライティング・リーディングです。ライティングは基礎などは高校で学びましたが長くて300~500wordsくらいの記述、さらに圧倒的文法弱者でした笑。もう知ってるよとか、簡単~なんて思えたのは最初だけでだんだんキツくなっていって、自分全然まだまだだなと気づかされましたし、Stream 3 で本当によかったなって思いました。

英語に自信はあったものの、高校はスピーキング重視でリーディングをあまり行っていなかったのでこちらもかなり悪戦苦闘しました。リーディングはELA Reader というELAのためにつくらたテキストを使用し、学期ごとにテーマが分かれているのですが、なんせこれが見たことのない長さ!!長っっっ!!

私の時は、

春→大学生とは何か、大学での学びとは、

秋→異文化理解の壁について、人間の物事(文化など)の捉え方について(文化心理学的な要素が強かったです)、

冬→生命倫理

ELAは大きなプログラムなので、その中に別々の授業があるのですが、AWRとRCAというクラスではこのテーマに沿ってテキストを読んでいきます。宿題としてリーディングをしますがこれが結構大変でした。そしてこれを読んでこないと授業に全くついていけないのです。授業中は読んできた(とされている)リーディングをもとにディスカッションをします。

ディスカッションの内容としては、

  • リーディングの構成の確認(パラグラフの繋がりなど)
  • 内容の確認
    • 各パラグラフごとにどのような内容が書かれているかを確認しあいます
    • 抽象的な内容や言葉が出てきたらそれがどういう意味なのか話し合います
  • 内容についてディスカッション
    • 上二つは書かれていることについての確認でしたが、それに加えて、内容についてどう思うか自分たちの意見について話し合います。
    • ICUではCritical Thinking(批判的思考)を育てることを目標としているのでこの過程もかなり重視されています。要は、読んできたテキストに疑問を投げかけ、ツッコミを入れていく感じですね

が多かったです。そして授業内でのそのような過程を経て、学期中に1つか2つ(Streamにもよります)のエッセイを書きます。最初は1000words行くか行かないかくらい、最後の方は1500 wordsくらいだったと思います。その学期に読んだ内容からトピックを定め、自分の考えを読んだテキストやそのほかの文献を用いて表していきます。

ELAで英語力は伸びる?

何をもって英語力とするか、にもよりますが私の場合は伸びたと感じています。

私の場合特に伸びたなと感じているのは、リーディングとライティングです。もちろんELAだけでなく通常の授業で英語の文献を読むことが多く、それで鍛えられた部分もありますが、ELAでの学習は大きく影響していると思います。

現在留学中でそれほど難しい授業をとっているわけではないこともありますが、リーディングは入学前と比べて確実に速く正確に読めるようになっているように感じています。ELAが一段落する1年生の終わりにIELTSを受けることができるのですが、まったく対策なしでリーディング7.5 だったので伸びたといえると思います。

また、ライティングも深い内容でなければ最近は1日半で1800 wordsくらいパーッとかけるくらいには成長しました(よろしくない笑)。スウェーデン人やヨーロッパの学生は話すと本当にネイティブみたいに流暢ですが、アカデミックライティングという点では私も並べるかな?と少しは自信が持てるくらいにはELAで本当に叩き込まれた感じがします。

今もまだまだ成長途中ですが、確実に入学前より力が付いたと感じていますし、何より英語の文献への抵抗が減りました(これは他の授業の影響もあるかもしれないけど…)。

もちろん、リスニングとスピーキングについてもどちらも伸びたと感じています。ELAはすべてオールイングリッシュ、日本語禁止なので…特にリスニングは留学先でも大学の講義などを聞く分には問題ないくらいに伸びました。ただ友達同士の速くてスラングやイディオムが多用されている会話などは今でも聞き取れないことがあります。

スピーキングは私の場合は使っていないとすぐに落ちてしまうので、落ちて戻って落ちて戻っての繰り返しです。でもELAを受講しているときはほぼ毎日授業があり英語を使う機会があったので高校生の頃よりも流ちょうに話せているという感覚がありました。英語なんて文法と受験の長文問題だけしかやったことないよ!という最初は全く話せていなかった友達でもやっていくうちに内容を議論したり、話したりできるようになっていっていました。

ELAで伸びるのは学習力

などと言いましたが、ELAで一番伸びたのは学習力だと思います。というのもELAというのは英語で授業を受けるための準備プログラムなのです。だから、ぶっちゃけ言ってしまえば英語が伸びなくても、英語で授業を受ける力さえついていれば問題ないのです。

この学習力、というものがリーディングであったりライティングを必要とします。ELAでこれらが特に伸びたと感じている私は結果として大学で学ぶ力がついたなと感じています。リーディングの際には、Annotation(アノテーション)といってテキストに書き込むことが推奨されるのですが、大事なところに線を引いたりするだけでなく、わからないところに印をつけたり、自分の疑問や感じたことなどもそこに書いていきます。こういった細かいこともELAの授業だけでなく、普通の授業を受ける際に役立っています。

また、ELAではアホみたいに課題が出て時間を割かなければならないので、そういった課題をどのように扱うか、という部分での学習力も少しは身についたと感じています。大学生になるまでの私はかなり完璧主義なところがあったのですが、ELAのおかげで(せいで)手の抜き加減だったり周りを頼ることだったりを徐々に学習しました笑 

 

英語が出来なくても大丈夫

ここまで読んでくださった方は、「いや、お前、入学前から少し英語できたんじゃん」と思われたかもしれません。確かにそうかもしれませんが、リーディングやライティングなどは大学での学習レベルではありませんでした。そんな状態でもしー--っかり叩き込まれるので安心してください笑

また、本当に英語苦手・・・という友達もいますがみんな何とか生き延びてきています。なので大丈夫です。なんとかなります。

 

勝手にQ&A

Q: Stream は重要?

A: 最初は気にしますが、最初だけです。自信過剰で、ELAではStream 2 に入りたい!と願っていたのでStream 3になって正直最初はショックで、嫌だな~と思っていました。でもELAを終えて2年近く経った今ではStream 3 が自分のレベルにあっていてよかったと感じています。もし簡単すぎる…という場合は春学期の終わりに調整の申請をして通れば上のStreamに上がることもできます。

1年生の頃は、初対面の人との会話が「Stream 、寮か通学か、サークルは」みたいにそればっかりなのですが、2年生になると誰もStreamなんて尋ねなくなります。最初だけです。

また、Stream によってELAの授業数が増え通常授業が取れないため卒業などに響くのではないかと心配する人もいますが(私です)、問題ありません!例えStream 4でも2年生からはELAが(ほぼ)ないのでしっかり通常授業をたくさんとって卒業できます。1年生の頃は、くそっELAのせいでとりたい授業が取れない…とイライラしますが、ほとんどの授業は毎年開講されているのでそんなに焦ることはないです。

 

Q: 留学は必修ですか?

A: 必修ではありません!留学も海外そんなに興味ないよ~というICU生も実は全然います。

 

Q: 英語開講の授業は必修ですか?

A: 必修です!ELA受講生は英語開講(通称E開講)の授業を18単位取らなければなりません。ほとんどの授業が1つ3単位なので、6つほど英語で授業をとらなければなりません。そもそも、ELAはこの英語開講の授業を受けるための準備として設けられているので、実はこちらが本番なのです。

 

Q: 英語が全然できません。ICUに入っても大丈夫ですか?

A: 大丈夫です。ICUの入試のシステムだと実は英語が壊滅的でも入学できちゃうので、英語が苦手、英語ができないよという方もいます。でもStreamでレベル分けされて本当に徹底的に英語をやらされるので、少し、もしくは4技能のどれかは伸びますし、いろいろと学ぶ力が付くはずです笑。そして、ELAと必修のE開講18単位さえとってしまえばそれ以外は英語を全く使わずに避けて生きることも可能です。E開講も一般教育や基礎科目など比較的内容が簡単な授業をとるという作戦を使うこともできます。なので、ICUに入っても大丈夫です。ただ、分野によっては英語開講が多かったり、教科書が英語だったりするので要注意です(言語教育メジャーはそんなのばっかりです笑)!

 

Q: ELAのクラスはどんな雰囲気ですか?

A: これはもう、そのセクション(クラス)によります。セクションによってはみんな真面目でやる気があって授業中は英語で会話をする雰囲気があり、課題も大体ちゃんとやってきて、LINEも頻繁に動いてみんなで助け合っているというセクションもあります。一方で日本語話しまくるし、あんまりみんな課題やってこないし、なんなら授業に3人くらいしか来てない、みたいなセクションもたまーにあります笑

私のセクションは前者の方で、セクションメイト(クラスメイト:通称セクメ)も割とみんな仲が良く、みんな優しく、授業を楽しくまじめに取り組むのはもちろん、ELAが終わった今でもよく遊びに行ったり、セクションコンパ(セクコン)をしたりしています。この前もzoom会をしたり、私は今留学中ですが、最近は他の地域に留学中のセクメとzoomで話したりしています。

どのような雰囲気のセクションだとしても、英語で話すことや発音がうまいことを馬鹿にするような雰囲気はないと思います。日本の学校だとありがち…?かもしれません。ですが、ICUのELAは恥ずかしがらずにたくさん英語で話して、発音や流暢さを向上させられる雰囲気・環境だと思います。

 

Q: ICUに入る前にどのような英語の準備をしておけばいいの?

A: 強いて言うなら、単語の勉強!語彙力は本当に大事です。語彙力がないと大学レベルの言いたいことも言えないし、書きたいことも書けません。あと、読むのも大変。そして、大学生になると個人的には単語帳に割ける時間も少なくなり、単語学習への強制力みたいなものもなくなったと感じています。なので、大学生になる前に(もちろん大学生になる前も忙しいと思いますが、)、受験などで需要やモチベーションがあるうちに単語の勉強はしておくといいと思います。レベルでいうと英検準1級程度までやっておくと、ICUのELA Stream 3では語彙力がある方に分類されると思います。

 

今回はICUで英語ができるようになるのか、を個人的な経験とともにELAの観点からお伝えしました。また機会があればELA以外の側面でどのように英語と触れることができるのかをお伝えできればと思います!