上京したけど森だった話

~あるICU生のひとりごと~

スウェーデン留学記⑬:春学期の半分を終えて(前編)

Hej hej!みなさんこんにちは!

スウェーデンの大学では1月から春学期が始まり、その半分が終わりました。私は春学期全体では3つの授業を、前半に1つ後半で2つ履修しています。今回は前半の授業が終わったのでその振り返りをしてみたいと思います!

 

English for Teachers (小学校教師のための英語)

私は日本では中高の英語科教職を履修している最中ですが、春学期の前半に履修していた授業は"English for Teachers of Year 4-6" というもので、スウェーデンで4~6年生の先生になるためのプログラムのうちの1つのコースでした。(詳しくはこちら↓)

hanamaru5.hatenablog.com

印象的だった内容

このコースを履修して印象的だった内容をいくつか紹介します。

スウェーデンの学習指導要領と評価システム

これらが印象的だった理由としては、その一貫性と具体性、明確な目的があるところが日本の学習指導要領や評価システムとかなり違うと感じたからです。

スウェーデンでは6年生になるまで評価、成績付けを児童に行いません。6年生の際に、スウェーデン語(国語)、算数、英語の3つの強化で National Test (全国統一テスト)があります。このテストではA~Eまでの評価が付けられます。これらの評価は学習指導要領における"Aims (目的)"や”Core content (学習内容)”の部分と結びついており、無造作にテストしているわけではありません。「何ができるか」の部分は成績では変わらず、何を「どれくらいできるか」によって成績が変わる仕組みになっています。

Läroplan (Lgr11): Curriculum for the compulsory school, preschool class and school-age educare (revised 2018)

この表は評価基準の表ですが、例えば"Pupils can understand... in clearly spoken simple English" という「何ができるか」という部分は変わりませんが、「どのくらいできるか」という部分は「もっとも重要なメイントピックのみ→メイントピックとその詳細→全体とより詳しい詳細部分」というように変わっています。

このようにカリキュラムの目的と内容に基づいた明確な評価基準があるという一貫性と具体性、そしてその評価はNational Testにおいて公正性を保ちながら行われるという点がかなり印象的でした。

また、National Test は、"Learning OF the National Test" (テストのための勉強)ではなく、"The National Test FOR learning" (学習(を改善・促進する)のためのテスト)として位置づけられているそう。テストを通じて生徒の理解度を計り、教師、学校、各自治体が指導法や教育の在り方を考え直すための材料としてテストを利用します。そのためテストの内容も大人が一方的に作るのではなく、生徒に実際に問題を解いてもらい、楽しかったかどうかなどをフィードバックしてもらうのだそうです。

テストを作る際に「子どもがテストを楽しめるかどうか」をも検討する、という点が学習の本質をついていると感じましたし、何よりテストとはそのために勉強させる道具ではなく、逆に大人側が子どもたちを知り教育を改善していくための手法である、という発想にとても驚きました。

ヨーロッパ言語ポートフォリオ

ヨーロッパ言語ポートフォリオ(European Language Portfolio [ELP])とは、CEFRという言語レベルの基準なども制定している欧州評議会によって作成されたもので(What is the ELP?)、簡単に言うと言語や文化に関する履歴書・経歴書、といったところです。

言語学習を記録し振り返る枠組みを与え、努力や成果を可視化することで生徒自身が言語学習を体系的に捉えるサポートまた、言語学習へのモチベーションをあげるという役割を担っています。ELPはLanguage Pasport(言語パスポート)、Language Biography(言語経歴書・履歴書)、Dossier(ワークシートやエッセイなど授業で使用し作成したすべてを一つのファイルなどにまとめたもの)の3つから構成されています。字面だけみると仰々しいので実際にスウェーデンで使用されているものを見てみましょう。Europeiska språkportfolion - Skolverket

こちらはスウェーデンの6~11歳向けに作成された言語ポートフォリオです。絵柄も可愛く見やすいです。英語ではなくスウェーデン語でシンプルに記されています。

スウェーデンELP:表紙(1枚目)、パスポート(2枚目・3枚目)
パスポートの最初のページでは名前や年齢、住んでいる国などに加え、使用できる言語や誰と話すか、どこで話すかなどを記します。

スウェーデンELP:Language Biography (言語経歴書・履歴書)
文化的な側面についても記録します(家族や親せき、友達の出身についてやその人たちがどんな言語を話すかなど)

Biography続き:(左)どんな言語を勉強したいか、またその理由。違う言葉を話すことは大切だと思うかどうか。(右)できるようになったらその枠に色を塗る

日本でも最近ではCAN-DOリストなどを用いて何がどのくらいできるようになったかを生徒自身に自己評価してもらうという動きは進んできていると思いますが、その授業内容ごとにやったりやらなかったり、一つのパスポートなどといった形で低学年から中学生・高校生まで使用し一目で自分の学びを可視化できるようなポートフォリオを開発・使用している先生や学校は少ないのではと思います。そしてさらに言語的側面だけでなく、言語「使用」の側面や文化、自分がどのようにどれだけその言語と接触しているかなどを生徒たち自身に考えてもらうことで、「何のために」言語を学ぶのかといったことやその言語を学ぶことの必要性・メリットなどに生徒自ら辿り着くことができるのが素敵だなと感じ印象にのこっています。

 

Children's Literature(英語教育のための文学使用)

そして今回のコースの中で一番印象に残った内容はChildren's Literatureでした。文学作品自体が印象的だったというよりは、教員養成の在り方として印象に残っています。日本の英語科教職では蔑ろにされている分野だと感じたためです。

私は現在ICUで英語科教職を履修しており、確かに英文学は必修科目となっています。ですがそれらは教師のために文学をどのように授業で使用するか、といった内容よりはただ、英文学の歴史やその作品の考察・分析など英文学の勉強を行います。英語科教師として文学的素養を身につけておくことは必要かもしれませんが、その素養があるからと言って授業に生かせるかどうかはまた別の話です。さらに、英語を勉強途中である中学生や高校生に、日本語で読んでも難しい文学作品を英語で読ませることはかなり困難だと考えられます。(もちろん英語に特化したカリキュラムのある学校ではもう既に行っているかもしれませんが…大部分の学校では難しいはずです)

ですが、スウェーデンの教員養成では児童文学を扱い、まずは課題などを気にせず自分たちがその作品を楽しみながら読むことを求められました。その後作品について話し合ったり、それらがカリキュラムなどとどのように組み合わせることができるかなどを考えました。

その時に私は、純粋に児童文学を読むことが面白いと感じたのと同時に、ほとんどそういった作品をしかも英語で読んだことのない私が、いざ教師になって日々忙しく過ごす中で急に本を使おう、詩を取り入れよう、次はこんな絵本を読み聞かせしてみようかな、なんて手が回るはずがないと気が付きました。

もちろん日本では定められた教科書があるのでそちらが最優先で副教材として本や詩を取り入れることは難しいかもしれませんが、文学は言語的な側面だけでなく文化的な側面も含み、さらにAuthentic Material(本物の教材)として機能することができます。本物に触れることは生徒の言語的・文化的理解を高めるだけでなく、モチベーションだって高めてくれるはずなどメリット満載です。難しい英文学の勉強も大切かもしれませんが、生徒たちに合ったレベルの文学を学びその実用的な使用法を教員養成の段階で取り入れていくべきと強く感じました。

そしてこの内容がとても強く印象に残った私は、今まで本などはそんなにたくさん読む方ではありませんでしたし、英語の本も片手で数えられるくらいしか読破したことがありませんが、卒論の研究テーマを「第二言語教育における文学の使用」に決めました。まだ詳しい内容は決めていませんがとてもわくわくしています。考えてみれば自分自身が英語学習に力を入れ始めたきっかけはハリーポッターだったわけで、日本語ではあれど何度も何度もハリーポッターを読み英語の世界への扉を開けた私にとって、このテーマはもしかしたら偶然のようで必然だったのかも!なんて思ったりもします。

この授業に関して内容以外の側面でも気づきがあったのでまだ書きたかったのですが、すごく長くなってしまったので続きはまた今度!

 

Tack för att du läste! Hej då!

 

スウェーデン留学記⑫:障がいは社会にあると感じた話

みなさんこんにちは!スウェーデンに留学してきてもうすぐ約半年!残りの留学も3カ月弱です。ちょっと帰りたい6割、帰りたくない4割、といったところでしょうか、

12月・1月とは比べ物にならないほどの日の長さで(6時半くらいには日が昇り、19時くらいまで明るいです、もう既に!)毎日心がハッピーな私です。

そんな私がそういえば・・・と最近気づいたことについてお話しします。

 

AD/HD 気味の私

正式に検査を受けたわけではないのですが中学生くらいの頃から私はAD/HD なのではないかと疑いながら過ごしてきました。私の妹が幼少期にAD/HDのグレーゾーンと診断され、それからというのもの問題児のレッテルを張られてきたのを見ていたため発達障がいというものに私自身も興味がありました。

妹は多動の割合が多かったため良くも悪くも目立ってきましたが、ある日そんなことを言って実は私もAD/HDなのではないかと思い始めました。私の場合はどちらかというと注意欠如が強いタイプだと思います。例えば、

  • 中学~高校と毎日の忘れ物は当たり前(完全に忘れ物をせずに学校へ行ったことはほぼない)
  • 宿題をよく忘れる
  • 宿題があることすら知らない(忘れる云々の前に本当に全く知らなくてびっくりすることがよくありました、聞いていないんですね)
  • ケアレスミス女王(高校受験の数学はケアレスミスの撲滅だけで20点(60点満点中!)くらいアップしました笑)
  • 少しの音などで集中が途切れる(シーンとした自習時間もみんなのシャーペンの音や時計の秒針などが気になってしまって私は全然集中できないので大体寝ていました。最近は順応してきましたが、音があると勉強できなかったため家でも耳栓をして勉強していました。)
  • 定期券や財布、携帯をよく忘れる
  • 家の近所でごみを投げるのを忘れてそのまま学校の近くまで持って行ってしまう(これは今思い返しても衝撃的笑)
  • 通っていた学習教室によく衣類や筆箱などを忘れて帰る
  • 学校にお弁当箱を何度も忘れる(しかも食べかけ、、)
  • 常にどこに何を置いたかわからない、部屋が汚すぎる

多動の面では、

  • 体のどこかが常に動いている、さもなければ寝てる(貧乏ゆすりなどが酷いです)
  • 口の多動(ものすごくおしゃべりです、話していないと死にます。高校生の時、無意識で授業中に歌っていたことがあって周りにいた友達に歌ってるよ!?と言われたときは恐怖さえ感じました笑)
  • 相手の話をさえぎって答えたりしてしまう
  • 先生の質問が終わる前に答えてしまう(ハーマイオニーよりたちが悪いです、笑)
  • 空気を読めず、衝動的な発言が多い(どれだけの人に不快な思いをさせてきているか…はかり知れません、ごめんなさい…高校の職員室で「寝させるような授業する先生が悪い」と大きな声で言ってしまったことは忘れません笑)

大学生になってからは、

  • 圧倒的にスケジュール管理ができない
  • 手帳、Googleカレンダー、ToDoリストのアプリ(リマインダー付き)、付箋、手に書くなどあらゆることをしても絶対に何か忘れる
  • 優先順位がわからない(本当にわからないんです、そして締め切りなどが近づいてから、あぁ絶対これ今じゃなかった…と反省します。バイト中も本当にわからなくて何度怒られたことか…ごめんなさい…)
  • 学校に傘を持っていくと99%の確率で忘れて帰ってくる
  • 何かをしているときに違う仕事が入ったり興味がそれると最初にしていたことを完全に忘れて放置(バイト先では何回も怒られました笑、散歩帰りの犬を玄関の外に放置してしまったり、基本開けたものは開けっ放し、やりっぱなし、全部中途半端です)

 

などなどなど・・・これだけでもほんの一部です。多動の方は割と制御する術を身につけてきていると感じていまがやはり不注意の方は直すことがかなり難しいと感じています(いろいろ努力はしてるんです!!)。高校生の時は毎朝母が、「携帯持った?定期持った?お弁当持った?宿題は?」と声をかけてくれて、物をなくしても一瞬で見つけてくれていましたが、大学生になって親元を離れその助けがなくなり、より顕著に不注意な部分に悩まされることが増えました。

もちろんこれらは誰にでもあることだと思いますし、完全に診断されているわけではないので私がただ怠惰なだけかもしれません。ですがその頻度と事の重大さが大きいことが多く、大学生になってからはより、「みんなはできているのに私はこんなこともできない」「やっぱり甘えているだけで怠惰なのかな」「社会不適合者だ・・・」という思いが強くもともと低かった自己肯定感がどんどん低くなっていったりもしていました。

 

スウェーデンに来て変わった!?

そんな私ですが、スウェーデンに来てからこういったことで悩んだり落ち込んだりすることが圧倒的に減ったなと最近気づきました。この要因としていくつか思い当たるのは、

  • マルチタスクが少ない
    • 同じ期間に取る授業は多くて3つほど。なので優先順位をつけやすいです。
  • 時間にゆとりがある
    • 同じ期間に履修できる授業が少なく、授業もそんなに多いわけではないため日々の生活にゆとりがあります。そうすると慌てて何か行動しなければならないことが減り、外出前に確認をしたりする時間が増えました。
  • デジタル化が進んでいる
    • 何もかも携帯のアプリ化だったりデジタル化されているため、携帯さえ持っていれば、定期を忘れた!これを忘れた!あれを忘れた!ということが起こりません
  • キャッシュレス化が進んでいる
    • もちろんカードを忘れれば終わりですが、お財布にカードさえ入れていれば現金が入っていなくてもどこでも買い物ができます。
    • それでもお財布ごと忘れますが笑
  • 持ち物が少なくていい
    • デジタル化・キャッシュレス化のおかげで持ち物が少なくていいので外出前の確認事項が減りました
    • 現地の高校生はスマホとパソコンだけを手にもって身軽に通学してます(カルチャーショック)
  • テストやレポートは再受験・再提出ができる
    • 一度落としてしまってももう一度受けたり提出することができます。
  • 期限が過ぎても提出出来ればいい
    • これは教授やその授業にもよりますが、期限が過ぎてしまっても、コースが終わるまでに提出してくれればいいよ、と言ってくれる教授が多いことにびっくりしました。

などです。もちろんここで長く暮らし、働いたりすればまた変わってくるのだと思いますが、交換留学というレベルにおいてはこれらの環境要因のおかげで自分の欠如している部分が補われたり、そもそもそういったことが起きないような社会になっていると感じています。

こちらに来てから冬の間は紆余曲折あり、悩んだり精神的に落ち込むこともあったのですが、自分の不注意の部分で大きな損失を被ったり誰かに与えたり、生活がままならない…と落ち込んだりすることはほとんどなくなりました。

もちろん不注意などが完全になくなったわけではありませんが、(ワンルームで物も少ないのによく失くし物をしたり、コンロの火を付けっぱなしにしてしまったり、部屋を片付けられなかったり)圧倒的に少なくなりました。

今までこういった自分の不注意や多動の部分でたくさんの人に迷惑をかけたり、自分自身も嫌な思いをしてきたことがすっかりなかったことになってしまうくらい、本当に最近までこのことに気づきませんでした。

日本に帰ったらどうなるのか!?また同じことの繰り返しだったら本当に、「障がいは社会/ 環境の側にある」ということが立証できるような気がします。なので帰国後私の不注意や多動の面がどうなっていくか、また振り返ってみたいと思います。

 

それではまた!Hej då!

 

スウェーデン留学記⑪:スウェーデンの大学~単位さえ取れればいいのか!?~

ぼちぼち続けてきたスウェーデン留学記も11回目です!(区切り悪っ)そしてスウェーデン渡航してきてから5カ月が経ちました!そしてそして2月ももう終わりますね、あっという間。

スウェーデンに関する情報だけだと他のサイトでも手に入るので、スウェーデンに来て個人的に感じた気持ちや考えたことなどを中心に書いています。

そんな中この前見たニュースで大学での学びとは、またスウェーデンの大学での学びって何だろう…?と考えたので少し書いてみたいと思います。

※この記事での「大学」とは学部という意味で受け取ってください!

授業の不正視聴

早稲田大学で「不可」100人以上 商学部で授業の不正視聴(フジテレビ系(FNN)) - Yahoo!ニュース

一旦スウェーデンから外れますが、このニュースをご覧になった方もいらっしゃるかと思います。オンラインの録画授業を複数同時に視聴したことで単位が認定されなかった、という出来事が早稲田大学であったようです。

このニュースだけでもとても考えさせられる内容なのですが、このニュースのコメント欄が個人的にはとても面白かったです。よく、ヤフコメは民度が低い、なんて言われますが、よくよく読んでいるといろんな考えの人がいてみていてとても面白いです。

そんなYahoo!ニュースのコメント欄で今回の出来事については、「内容を理解しているかどうかが問題じゃない?」「テストやレポートで理解を確認できればいいのでは?」という声や、「大学生にもなってそんなことをして、何を学んできたんだ!」「授業料がもったいないじゃないか」といったような声もありました。

 

大学は教育機関なのか、研究機関なのか

こういった議論や今回の事件?からわかることは、この記事のタイトルにある「単位さえ取れればいい」という考えが日本では否定的にみられることが多い、ということです。そして、それは大学は「教育機関」なのか「研究機関」なのか、という議論にもつながると考えます。

日本では大学は「教育機関」としての役割を多く備えている、もしくは大学に対して「教育機関」として大学生を教育することを求めている人が一定数いる、ということが今回のニュースのコメント欄からも分かります。いいか悪いかは別として、大学に行っておけばとりあえずなんとかなる、何とかしてもらえるだろうという考えがある人も多いでしょう。

大学が学生を「教育」する場なのか、それとも研究者が「研究」しその傍らで研究者の卵として学生を育成していく場なのか(もしくは「教育」するけれどもメインは「研究」でしかない場)というのはそれぞれの大学や国によっても考え方が異なり、一人ひとり違った意見を持っているかと思います。なので何が正解、というのはないのではないかと思っています。

とりあえず大学に行く、はよく批判されがちですが、そこで目標や学びたいことを見つけることもあるため必ずしも悪いことではありませんし、リベラルアーツの学部ではその側面が強いこともあると思います。例えばアメリカにあるリベラルアーツの大学では、大学院を持たず学部生の教育だけに力を入れているというところも多いみたいです。

... liberal arts colleges generally differ from National Universities by focusing solely on undergraduates – often offering few or no graduate programs – ... emphasizing teaching that prioritizes a broad base of knowledge over professional training (Moody, 2018)

What a Liberal Arts College Is and What Students Should Know | Best Colleges | US News

ICU国際基督教大学

ICUはどうでしょう?日本の中でリベラルアーツを掲げている数少ない大学ですが、大学院もあり教授は研究を行っているためその傍らで学生を教えています。そんなICUに私が3年在籍して感じるのは、ICUは「教育機関」としての側面が強い、ということです。教授は確かに研究を行っていますが、ほとんどの授業はかなり丁寧かつ緻密に構成され行われていると感じています。少なくとも私が受講したほとんどの授業では、「研究の傍らで教えてるんだよ」「これが本業じゃないんだよ」といったような雰囲気は感じたことがありません。

アドバイザー制度などもあり、教授がアドバイザーとして一人一人の学生に充てられます。学生は学期の初めに教授と先学期の成績などを話し合いながらその学期に登録する授業を相談できたりします。また、オフィスアワーとして各教授が1週間のうち必ずどこかで教授のオフィスを開放し誰でも教授を訪ねることのできる時間もあり、学生は教授に授業に留まらず様々な質問や相談をすることができます。

また、授業では出席に成績の大きな割合が割かれ重視されていたり、ただ出席するだけでなく積極的な参加(発言など)が求められていることも多いです。大っ嫌いなのですが、毎回授業後のコメントシートの提出があることでそれが質問の代わりになったり、否が応でもその日の授業を思い出すことになります。なので、内容の定着や批判的思考を育てることに繋がっているのと同時に「単位さえ取れればいい」わけではないということを示しているとも感じます。

日本の大学

ICU以外の日本の大学はどうでしょう?もちろん経験したことがないのでわかりませんが、リベラルアーツでなくても「教育機関」としての側面が大きいと感じます。学生が自発的に学んでいく場、といよりも課題をこなしていく場、という雰囲気が私の周りの友達を見ていて伝わってきます。(実際、私自身もそんな感じです笑)もちろん、学びたいと思って興味を持って授業を履修している人が大半だとは思いますが、そんな中でやはり課題がたくさん出たりするなどして結果として課題に追われるだけ、という本末転倒のような形になっていることが多いのではないでしょうか。

ICUの教授の中には、自分が学生の頃は今の大学生たちみたいにこんなにたくさん課題などがなかった、興味のある人や学びたい人が進んでそれを行っていく場でそのための時間もあった、だから私は最低限の課題しか出しません、興味がある人は自分で読んだりしてください、という教授もいました。このことからも、今の日本ではとりあえず課題を出すなどして学生に何かさせておく、学生を教える、教育する、という側面が強いように感じます。(もちろん、アメリカなどの大学に比べれば課題の量は可愛いものですが、その意味ではアメリカの大学なども教育的な側面が強いのかもしれませんね。)

スウェーデンの大学

ではスウェーデンの大学はどうなのか?個人的意見ですが、スウェーデンの大学は「単位が取れればいい」という考えが肯定的に捉えられているように感じます。

テストでパスさえすればいい

スウェーデンの大学の授業(Course)は大体、講義とセミナーで構成されています。中には講義しかないものもありますが、講義で学んだ内容をセミナーで少人数でディスカッションしたり実践してみるといった感じです。

この講義とセミナーですが、Obligatory(必修) とそうでないものがあり、必修でない講義やセミナーには出席しなくても良い、ことになっています。現在私が履修しているのは教員養成プログラムのうちの1つのコースであるため、ほとんどの講義やセミナーは必修なのですが、先学期履修していたコース4つでは必修の講義やセミナーがまったくありませんでした。つまり、課題を出して、テストを受けて、プレゼンテーションをして、パスさえすれば授業に全く出席しなくても単位がもらえる、ということです。

最初はとても驚きました。20人くらい履修している授業なのにセミナーに4、5人しかいなかったり。そのセミナーも教授が、何か質問ある?ないなら終わるけど?みたいなスタンスだったり。

授業に出ないなんて、不真面目だ!と思っていましたが、スウェーデン人の友達と話すと、「しっかり自分で勉強して課題を出してテストでパスできれば問題ないでしょ?」とのことでした。

 

そしてこの考えが肯定的に捉えられている要因の一つとして、「大学=研究機関」の要素が強いことがあるのではと考えました。スウェーデン人の友達は研究を行っていない大学のことを、「あれは英語ではUniversityだけどスウェーデン語では大学じゃない」などと言っていました。

教授との距離が遠い

スウェーデンの大学は「研究機関」だな~と感じた事例の一つとして教授との距離が遠いと感じることをあげます。これは個人的経験であって、他の授業では教授と話したりしていると言っている友達もいたので一概には言えないかもしれません。

ですが、私が履修した授業の1つでは友達がエッセイを書く際に内容について教授と議論したり教授の意見に興味があり話してみようとした際に、「私はあなたの試験官だからそれはできない」「疑問があるなら学生同士で話し合いなさい」と言われてしまいました。

質問があれば何でも聞いてね、とは言ってくれますがその質問は授業そのものの形式や課題の提出法などに関することであって、中身に対する議論などのことではないのかな、と感じた出来事でした。

また、授業を履修する際のコースリストなどにその授業を担当する教授の情報などが載っていません。そのため授業を履修する前に教授にコンタクトをとることなどもできず、学部のコーディネーターとしかやり取りできません。教授は研究をしてその傍らで教える人、そのほかの業務は違う人が行う。分業がしっかりしているのだな~と思う反面、やはり教授はあくまでも研究者なのだなと認識させられます。

これらの経験は私が受けた授業では、という意味で個人的なものです。友達が履修したジェンダーの授業ではエッセイを書く前に教授と面談があり内容を相談する機会が何度も設けられたりしたようです。学部やその教授の方針にもよるのかもしれませんが、少なくとも私が履修した授業とICUでの授業を比べる限り、遠いな~と思ってしまいました。

 

もちろん、日本の大学生も課題だけ頑張ればいい、単位取れればいいでしょ、と考えている人はたくさんいると思います。ただここで日本とスウェーデンが違うなと感じるのは、そのことに対する考え方やイメージです。日本では「単位が取れればいい=不真面目」、などと負のイメージがある一方で、スウェーデンでは単位が取れればいい、は割と普通で肯定されていることが多く、負のイメージがないという点です。

長くなってしまったので、スウェーデンで「単位が取れればいい」が肯定されていることについての「大学は研究機関だから」以外の理由や、そもそもなぜ研究機関としての色合いが強いのかについての考察はまた次回!

書いていてICUリベラルアーツについても改めて整理したり、日本の大学自体もっと知りたいなとも感じました。考えがまとまったらそちらも考察してみたいと思います。

読んでくださりありがとうございました(*'▽')

 

 

ICUでの寮生活~キャンパスで生活!?~

ICUの合格発表がそろそろ出る・出た頃でしょうか?

合格された皆さん、おめでとうございます!合格された方もそうでない方も、これから様々な選択をしていくと思います。選択は常に後悔がつきものです。どちらをとっても大なり小なり後悔したり、もう片方の道に行ってたら…なんて考えたりもします。それでも、皆さんが信じて進めばその選択はどれも正解だと思います(*^^*)

そして、合格した後に地方出身の私が一番気になったことは、「寮!!!」のことでした。でも私の時はあまり寮の情報を見つけられなかったので、ここでお伝えします!

 

ICUの寮の特徴

ICUの寮の最大の特徴は、大学HPにもありますが、「教育寮」ということだと思います。寮によって度合いは変わりますが、基本は学生が主体で寮運営を行います。

各寮には寮長、もしくはフロア長がおり、その人たちを中心に委員会の役割や、各寮・各フロアでそれぞれ違った役割が設置されており(これも自分たちで決めます)それぞれが役割を果たしながら寮を運営していきます。

月に一度の寮会・フロアミーティングでは、こちらもそれぞれの寮やフロアによって内容は異なりますが、直近の問題点や改善法などを各寮・各フロアに属する寮生が全員参加して話し合いをします。新しくルールを作ったり、時には罰則付きのルールができたりなんかもします笑。自分たちで様々な決定を行い、寮を運営していく、これがICUの寮の最大の特徴だと思っています。

ICUの寮はただ住むだけ・生活するだけの場所、というよりも自分たちで運営し、作り上げていく主体性や協調性が求められます。

 

寮のタイプ

ICUには全部で9つの寮があり、学生の約3分の1の800~900人ほどが暮らしています。すべてキャンパス内にあり、少しばかり近い・遠い、などありますが、5分くらいでだいたいの建物に辿り着くことができます。

旧寮

グローバルハウス(男女混合)、カナダハウス(男子寮)、第3女子寮、第4女子寮の4つの寮が旧寮です。「旧」とついているだけに歴史が古くICU開学近くから存在している寮もあります。

旧寮は他の寮に比べても自治の割合が高く、より多くを自分たちで決定し運営しているそう。寮生の数も新寮や新々寮と比べると少ないためそれぞれがより親密になりやすく、管理人さんとの距離も近いため、本当に家族のような関係性なのではないかと、外から見て思っています。

旧寮どうしの繋がりも強く、よく旧寮の間でカップルができていたりするらしいです笑

イベントなどの文化もたくさんあって、楽しそうです。ただその分、コミットしなければならなかったり、わいわいにぎやかな人たちが多かったりする(ごめんなさい偏見かも…)気がしているので、イベントが好き!楽しいこといっぱいしたい!という人に向いている寮かなと思います。

また、自治の割合が高く寮会なども深夜遅くまでしているなんて話もたまに聞きます。寮生活自体をICU入学の目的の一つとしてとらえている人にはうってつけの寮だと思います。

詳しい雰囲気はこちらをご覧ください!↓

https://www.icu.ac.jp/campuslife/images/global.pdf

https://www.icu.ac.jp/campuslife/images/canada.pdf

https://www.icu.ac.jp/campuslife/images/3rd.pdf

https://www.icu.ac.jp/campuslife/images/4th.pdf

新寮

銀杏寮(いちょう)、欅寮、樫寮の3つを合わせて新寮と呼びます。新寮は繋がってはおらずそれぞれ別の場所に位置していますが、造りは同じです。1階が男子フロア、2・3階が女子フロアとなっています。

新寮はICUの寮の中でも一番セキュリティが厳しく、新寮生以外はICU生であっても立ち入ることができません。セキュリティ面が心配な人には安心の寮ですね。

すべて二人部屋ですが、新々寮に比べるととても広いと思います。一フロア40人と多いですが、3フロアしかないので新々寮よりは上下フロアの繋がりもあるそう?また、そのため管理人さんとの距離も近いようで、羨ましいな~と新々寮生の私は思ったりしたり思わなかったり。

新寮にはシャワーしかないので新々寮の浴場を使うことができるのですが、使用できる時間帯に制限があったり、冬場はお風呂に入った後に移動しなければならなかったりします。

詳しい雰囲気はこちらをご覧ください!↓

https://www.icu.ac.jp/campuslife/images/ginkgo.pdf

https://www.icu.ac.jp/campuslife/images/oak.pdf

https://www.icu.ac.jp/campuslife/images/zelkova.pdf

 

新々寮

通称「しんしん」などと呼ばれる新々寮には、樅寮と楓寮の二つがあります。新々寮はその名の通りICUの中で一番最新の寮です(といっても2017年笑)。寮生だけでなくICU生みんなが集う場所というコンセプトに沿って、樅寮と楓寮の一階は繋がっており、ICU生ならだれでも使える、ソファやイス、テーブル、キッチンなどが設置されているホールや、セミナールームなどがあったりします。そして、新々寮生と新寮生が使える浴場もあります!また、共有部分であれば各フロアに寮生でないICU生を招くことができます。

樅寮は2階が男子フロア、3~5階が女子フロア、6階がジェンダーフリーフロア、7階が大学院生フロア。

楓寮は、2階が男子フロア、3~5階が女子フロアとなっています。

6階はすべて一人部屋ですが、それ以外のフロアは二人部屋12部屋、一人部屋8部屋、最大32人が一フロアで生活を共にします。

正直、部屋は新寮に比べると狭いですが、その分共有部分が広くなっています。スタディルームも各フロアにあります。一階に浴場があり冬でも外を移動せずに湯船につかったりできるのはいいところです。

新々寮はICUで一番新しいため、旧寮などと比べると文化や伝統などはまだ浅い方です。また、人数が多く基本はフロア内で寮運営を行うため、他の階との繋がりは正直薄くなりがちです。そのため、他の寮生からはマンション、などと揶揄されることもあります。

ですが、もうすぐ5年近く経つという中でそれぞれのフロアや寮で文化が形成されつつあります。個人の生活をお互いが尊重しあいながら、適度に繋がりを作ることができる、そんな寮です。私自身、新々寮に住んでいるのですが、寮に入らなければどうなっていただろうと怖くなるくらい、とても素敵な経験ができましたし、とても大切な友達ができました。新しい量のため、自分たちでイベントを作っていったりして、寮を作り上げていっている過程に関わることができました。

詳しくはこちらへ↓

https://www.icu.ac.jp/campuslife/images/momi.pdf

https://www.icu.ac.jp/campuslife/images/maple.pdf

 

寮に暮らしてよかったこと

一番はやっぱり、素敵な出会いがたくさんあったこと、です。

寮生活でできた友達って、私にとっては不思議な友達なんです。よく遊びに行くか、と言われたらそうでもない。すごく話や趣味が合うか、と言われたらみんながみんなそうではない。それでも、大学に入ってできた中でもトップレベルでかけがえのない友達たちなんです。

メジャーも違う、サークルも違う、趣味も興味も違う、そんな友達ができる経験って、もうそうそうないんじゃないかなって思います。そんなみんなと出会えて友達になれたこと自体がまず、寮に入ってよかったなって思うことの1つです。

全く考えや価値観が違うからこそ、話してみたら面白かったりするし、逆に理解できないなっていうときには、分かりたいと思って話したりしてました。あ、気が付かないうちに、ICUの寮運営の目的「対話」が勝手にできてましたね。嵌められた~笑

授業から学んだこともたくさんあるけれど、寮で生活する中で、学んだことは本当にたくさんあるし、そんな学びをくれた友達たちに出会えてよかったなって思います。

そしてみんな本当に多様なんですね。海外からの寮生ももちろんいますが、日本全国様々なところから来ていて、その上帰国生だったり、海外経験などのバックグラウンドを持っている人たちも多かったりして。東京にいながら軽くカルチャーショックを受けてことを覚えています。同じ日本人のはずなのに、文化や言葉(方言)、習慣も考え方も全然違う!「異文化」って海外のことだけじゃなかったんだな、自分の外にあるものはすべて異文化なんだなって気づいた瞬間でもありました。そんな気付きができたのも寮生活ならではでした。

他には…

  • わざわざ友達に会いに行ったり呼び出さなくても誰かしらいるから寂しくない、楽しい!
  • 寮の友達の前ではいつでも自然体でいられる(寝起きからすっぴんから、お風呂上がりから、お互い全部知っているので!)
  • たくさんの先輩から、いろんなことを学べる
  • 履修の情報や授業のことなど先輩から情報をもらえる
  • サークルなどに入っていなくても上下左右様々な人たちと出会うことができる
  • 海外からの学生と話すことで英語やそのほかの言語を勉強できる
  • 日本にいながら国際交流ができる(これは寮生でなくてもICUに入れば十分できますが…)
  • キャンパスに住んでいるから、授業ぎりぎりに起きても間に合う笑
  • お昼休みは帰ってきて食べることができるので食費が浮く
  • 通学の交通費がかからない

 

寮生活の大変なところ(個人的)

  • 二人部屋で、自分の方が早く寝たときなどは相手の音や明かりが気になってしまう
  • 共有のキッチンでトラブル多発しがち(絶対に誰かしらルール破る)
  • いろんな寮生のニーズをまとめるのが難しい(これはフロア長視点です笑)
  • 自分たちで運営すること
  • 相手に思っていることを伝えること(ルーミーに直してほしいところを伝える、など)
  • 文化の違いで何が「当たり前」なのかわからなくなる(日本と海外、だけでなく、今まで自分の家で慣れ親しんだやり方と友達の家のやり方は違いますし、地域によってもいろんなことが違ってきます。みんな自分の慣れている方法で掃除したりいろいろしたがるのでそれが衝突することもありました。)
  • どうしても一人になりたい時になれない時がある

 

ICUでの寮生活(勝手に)Q&A

それではここできっと皆さんが抱いていると思われる疑問に対して勝手に答えていきます!笑

Q: 寮に入るにはどのような選考過程があるの?

A: 詳しい選考過程は明らかにされていませんが、基本はハウジングオフィスという寮運営を担当する事務局が選考しています。第3希望まで選び、志望理由や寮に入ったらどのような生活がしたいか、などを書いて提出します。一応家庭の年収なども聞かれますが、年収が高いからという理由で落とされることはないと思います。出身に関しては、地方出身だからと言って必ず入れるというわけではなく、また近くに住んでいるから入れないというわけでもありません。寮の特徴で書いたように協調性やコミットが求められるので、ただ住みたい、というだけでは入るのが難しいかもしれませんし、入ってからも大変に感じると思います。

 

Q: 寮の先輩は怖い?

A: みんな優しいです!寮やフロアによりますが、多くの寮では敬語禁止!などのルールがあり、みんなタメ口で話しています。体育会系出身の私も最初はためらいましたが、1週間くらいするとすぐ慣れました。勉強や大学のこと、進路のことなどを教えてくれるときは先輩として、でも普段は友達として接してくれてお姉さん・お兄さんがいっぱいできた気分になります笑。自分が上級生になると、友達兼妹・弟がいっぱいできたような感覚になりました笑

 

Q: 寮に入ってルームメイトや他の寮生とうまく過ごせるか不安です

A: ほとんどの寮(少なくとも私の寮)ではアンケートをとったり、希望を聞いてお話を重ねて生活リズム合うルームメイト(ルーミーと呼んでいます)を決めています。また、新入寮生が来る際にはウェルカムパーティーをしたり、とにかくみんなわくわくではやく仲良くなりたい、新しい子のことをたくさん知りたい!という気持ちでいる人が多いです。よほどその寮のルールを破ったり、非常識すぎることをしなければ嫌われたりすることはないと思います。

ルーミーは他学年であることが多いです。もちろん合う・合わないがありますが、意外と二人部屋での生活も楽しいですよ!もし本当に合わないな、辛いな、というときはいつでも寮長やフロア長に相談してくださいね。

 

Q: 門限はあるの?

A: 一応あります!これ以上は言いません!笑

 

Q: 外泊はできる?

A: できます!

 

Q: 長期休暇中も滞在できるの?

A: 新々寮はそのまま自室に滞在できます。そのほかの寮生は、特に旧寮は夏の間閉寮するため、新寮の部屋に移動しなければなりませんが、滞在することはできます。

 

Q: 一回寮を出てもまた戻れるの?

A: 基本的には戻ることはできません。中途募集などがあれば応募することはできますが、自分がもともと住んでいた寮に戻ることができる可能性はかなり低いです。交換留学中に寮を開ける場合だけはその後戻ることができます。

 

Q: 寮に入ってよかった?

A: とっても良かったなって思っています!合わなかったら退寮することもできるので(実際様々な事情で退寮する人も多いです e.g. 休学、一人暮らししたい etc.)、気になっているのなら申し込むだけ申し込んじゃいましょう!

 

いろいろ書きましたが、寮の文化、特にイニシエーションについてはまた別の機会にお伝えします!今寮を選んでいる皆さんの参考になれば嬉しいです。

ICUを検討している受験生や高校1・2年生の皆さんはオープンキャンパスで寮ツアーもあるのでぜひ行ってみてくださいね🤗

スウェーデン留学記⑩:Whether you think you can or you can't ... you're right

"Whether you think you can or you can't... you're right"

 

カメラロールを見返していたら、ELA(ICUの英語の授業です)で自分が好きなQuote(名言)を選んで書いたときの写真が出てきて、少し心が救われて、名言なだけあるな、と思っている今日この頃です。

 

f:id:hanamaru5:20220211070552j:plain

この時のELAの先生がニュージーランドの人でキウイを折り紙で作ってQuote書きました(よくよく考えるとちょっと意味わからない笑)

 

正当化?

"Whether you think you can or you can't ... you're right"

このQuoteは調べたら、アメリカの自動車メーカー、フォード・モーターの創業者ヘンリー・フォードの言葉らしいです。

「あなたができると思ってもできないと思っても、どちらでもあなたは正しい」そんなところでしょうか。

私がこのQuoteを選んだのは大学1年生の春でした。海外大学に進学したかった私。結局諦めてしまってできなかった私。ICUに入学した最初はずっともやもやしていました。そんな時にこの名言に出会って、なんだか救われた気がしたんです。

このQuoteには、どんな行動をしようと、その行動をどうとらえるか、どのような態度をとるかによって結果が変わってくる、という意味が含まれているそう。

だから、海外の大学に行けなかった、行かなかったという行動をずっと嘆くよりも、ここで頑張っていこう、そう思うことで、態度が違うだけで、行動は同じでもその行動の結果が変わってくる、ということです。もうICUに進学したという事実は変わらないのだから、そこから先の人生を良いものにしていくために、ここで頑張ろう。そんな風に1年生の私は思うことができていたんですね。私はこの言葉をずっと忘れていたのだと、最近気が付きました。

それって正当化してるだけじゃん?そう、正当化してるだけ。でも、正当化したっていいじゃん。

 

留学に正しいも間違いもない

だから私は今回の留学でも、もう残り5カ月しかないけれど、この考えにすがって生きていこうと思っています。

私は今のところそんなに友達はできていません。たまに誘ってくれる友だちはいるけれど、1週間のうちで人と会うのは今のところ数回しかなく英語どころか日本語すら話さない日だってあります。「留学 友達出来ない」「留学 寂しい」とか検索して、何してんだろ、って思うことばかりです。

でも、正直留学に正しいとか、間違っているとかってないと思うんです。私の目的はスウェーデンの教育を学ぶこと、文化、特にゆとりや休息の文化を感じ自分を見つめなおすこと、でした。この二つは割と達成できていると思います。

留学はこうあるべき、なんてものないのだから、留学生が100人いれば100通りの留学があっていいはずで、自分がそれでいいんだって思えて、少しでも学べたらそれだけで正解だと思いたいですね。

自分では学んでいないと思っていても、最近他の地域に留学している友達と話すようになって、「たくさん学んでるじゃん!」「それも日本にいたら気づかなかったことじゃん!」と褒めてもらっています。自分では気づいてないけれど、微々たることかもしれないけれど確かに私はここに来なければ気が付かなかったことや知らなかったことを知ることができている。もうすでにいろいろできているじゃんと、自分を認めてあげたい。

知らない国で、言語も英語じゃないところに来て、最初はGoogle翻訳がなければ何も買えなかったけれど、今は翻訳しなくてもスーパーで買い物できるし、カフェやレストランではスウェーデン語で注文できる。携帯のSIM容量だって、コンビニでスウェーデン語で買うことができる。いろいろできるようになってるじゃん!十分成長してるよ、私。

友達作って程よく友達と会って寂しくなく過ごす、というのは元から目的になくてぼんやりとしか描いていなかった。だからうまくいかなくてもしょうがないかな。もう少しは社交的になりたいと思うけど、友達がいないからって全部が失敗だったみたいないい方するのはやめよう、それに少しはいるじゃん、そのわずかなありがたい人たちに失礼だよ、私。

 

人は人、私は私

高校生のある時くらいまで、私は「人は人、私は私」の考えで人と自分を比べることはそこまでなく己の道を突き進む!みたいなタイプでしたが、ある時から人と比べてばっかりでしたね。

でも、本当にここ1、2日「人は人、私は私」を思い出させてくれる出来事が重なりました。たまたま母校の高校を調べていたら(母校大好き人間です笑)、高校時代の恩師の先生が私たちに言い聞かせてくれていた言葉が出てきたり。

"Don’t compare yourself to the others."

 

(なんだか先生の話し方や声までよみがえってきて、喝を入れられた気分でした笑)

大好きなアイドルが出した新曲の歌詞が、とても優しかったり。

自分らしくの代償と不安ばっかりが
時と共に増えても私は 私にしかなれないの
最初から知ってたはずでしょ I know

幸せって比べられるものだっけ?
人の数だけあるはず I say
違っていいはずなのに なんで
同じもの追いかける Nonsense

(ちょろいのでしっかり心に刺さりました笑)

だから、羨ましくなっちゃったりすることもあるし、落ち込むこともあるけれど、私は私の留学をする!比べない!

スウェーデンでたっぷりある時間を使って

もちろん、ゆとりがある生活の中でスウェーデンでしかできないことをするべきなんだと思います。でも、このゆとりは日本にいるときには絶対に手に入らなかったもの。この時間があるということだけでもスウェーデンに来てよかったじゃん!と思おう。

だから、この時間を使って、できればスウェーデンでしかできないことをした方がいいけれど、前からやりたいと思ってできていなかったことを、自分のための時間として使おうと思い、少しずついろいろ始めました。

 

そして、小さな発見をたくさんしていこう

留学に正しいとか間違いとか、留学はこうあるべき、とかって多分ないです。世界中がグローバル化しているなかで別に、自分の国を出ないとできないことってそんなにない気がしています。じゃあ何しに来たの、って感じですが…

私は自分の行動、これでいいんだって正当化していこうと思います。そして、そんなこと気づいて帰ってきてどうするの?っていうことをたくさん学んで気づいて帰ろうと思います。だって、そういう小さいことの方がここにいないと気が付けないことだから。

大きな文化は今や世界中どこにいたって知ることができます。でも例えば、スウェーデンのバスはベビーカーの人がいるときにドア側の車両の空気が抜けて傾いて乗り降りしやすくなってる、なんて多分誰も知らないと思います。日本人の留学生にも話しましたが、誰も気づいてませんでした。

スウェーデンに来たから得ることのできたゆとりの中で、日本でもできるようなことをしながら、でも日本にいたら知らなかったどうでもいい発見をたくさんして帰ります。これが私の留学だー!(ここが私の Another Sky みたいな笑)

小さな発見を忘れないように、残り少ないけれど、たくさんここで発信していこうと思います。

 

それでもやっぱり友達はほしいから、最後までぐちぐち言うと思います。少しくらいはほしいな、やっぱり笑。私が欲しい友達は、

【女性、同年代(20~25歳くらい)、学生、一緒にランチしたりFikaしてくれる、そんなに派手じゃなくてゆったりとしていて、お話しするのが好き】

みたいな人ですね笑。そんなに高い理想ではないはず…?授業がキャンパスで始まったら、ランチに誘ったり、Ska vi fika? って言ってみるくらいは頑張ります笑

 

Whether I think I can or I can't ... I'm right!

 

ICU入試直前!~ICUを受ける受験生の方へ~

最近は留学中ということもあり、スウェーデンに関することを多く書いておりましたが、そもそもICUのことを発信したいと思って始めたブログだった(すっかり忘れていた笑)のと、明日は入試ということで、今回はICUの入試について個人的な視点からお伝えします。入試の内容などはホームページとか見てください、書いてます笑

 

一番大事なこと

ICUの入試で一番大事なことは何だと思いますか?英語力?知識?教養?確かにどれも大切ですが、私が一番大切だと思っているのは「楽しむこと」です。

入試を楽しむ?何を言っているんだ…と思わるかもしれません。

でも、私がICUの入試を受け終わった際に感じたことは、「あー面白かった、楽しかった~」ということだったのです。実際に一般入試で入学した他の友達と話していても、入試問題面白かったし、楽しかったよね~という話題になります。

もちろん、緊張もあると思いますが、目の前の問題を純粋に楽しめば、結果もついてくると思います。ICUの過去問1、2年分くらいしか解かなかった私が言うので本当です笑。

 

ICU入試当日の雰囲気

実は私はICUしか受験しなかったので他の大学の雰囲気がわからないのですが、ICUの入試はとてもまったりとしていました。

最後の科目が英語だったのですが、始まる前に試験官の教授が、「や~みなさん、頑張ってますね!すごくいい出来で、皆さん順調に来ていると思いますよ!最後の英語も頑張りましょうね~」みたいなことを言ってくれました。さらには、「おっ、少しい時間があるな~じゃあ深呼吸しましょう!吸って~はいて~」と。

教授にもよると思いますが、私の教室の教授はとてもまったりしていて私も落ち着いて試験を受けることができました。

お昼休みには、通称「バカ山」で一緒に受験しに来た友達同士でお昼を食べる受験生の姿もちらほら。春の日差し(極寒北の大地からやってきた私にとって2月の東京は春でした笑)と心地よい風、受験生の話し声・笑い声が窓から入ってくるお昼休み。

あれ、私ICU生だっけ?もう?と錯覚するほどに落ち着いて受験しました笑

(そうそう、私の時は結構部屋の中が暖かくて、暑いくらいでした。特に雪国とかから来て寒さになれている人は、脱ぎ着できる服装で行くことをお勧めします!)

机との闘い方

他のICU生のブログなどを見た方はご存じかもしれませんが、ICUはほとんどの教室がタブレット型テーブルです。受験もその机で行います。マジで狭いです笑

そんな中私は受験の際にその机との戦い方を見出しました。

受験番号が紙で貼ってあるのですが、その紙を少しだけ剥がして机と紙の間に空間を作り、そこに鉛筆やら消しゴムを挟みました。落下防止です。

この策がうまくいき、私は何も落下させずに受験を終えましたが、試験中かなりあちこちから、ころころ~と鉛筆が落ちる音が聞こえてきました笑

鉛筆の芯が折れて全滅しても大丈夫ですよ、鉛筆借りれます。

 

トイレに行きたくなったら

試験中どうしてもトイレに行きたくなってしまうことってありますよね。私は人生の中で試験中にトイレに行きたくなることなんてなかったし、行ったこともなかったのでまったくもって大丈夫だろうと思っていました。

ですが、前日の食べ合わせが確実に悪く笑、総合教養の試験開始前に強烈な腹痛に襲われました。耐えられなくなり、手を挙げて、「すみません、トイレに行きたいのですが…」とお願いしたところ、総合教養のリスニングが終わるまでは行かせられないとのことで…

15分死にながら耐えました笑。内容は全然入ってこなかったけれどなんとか答えて、その後無事にトイレに連れて行ってもらいました。担当の方に「大丈夫だった?頑張ってくださいね」と優しく声を掛けられ、その時私は「あ、ここに入学したい」と思いましたね、単純笑

前日の食べ合わせや朝ご飯は気を付けてください!

 

早く寝てね

さあ、もうこんな記事読んでいないで、早く寝ましょうね!緊張して眠れないかもしれないけれど、目を閉じて横になっているだけで人は80%ほど疲れが取れるらしいです。出典は不明です笑

みなさんがICUの入試問題を楽しむことができるように願っています!英語のリスニングは速いしぼそぼそしてて何言ってるのかわからないけど、たぶんまわりもわかっていないから大丈夫笑!

応援してます!頑張ってくださいね(*^^*)

 

スウェーデン留学記⑨:2022年初キャンパス授業

Hejsan!(ヘイサン!これもスウェーデン語の挨拶の1つです)

2022年が始まってあっという間に1月も31日。本当に日が経つのははやいです…

スウェーデンの大学では1月半ばから春学期が始まったのですが、私のとっている授業は今までのところほぼすべてオンラインで開講されており、何とも言えない日々を過ごしていました。

そんな中、今日ようやくキャンパスでの授業があり、対面で授業を受けてきました!

 

スウェーデン人と日本人は似てる…?

よく(?)「スウェーデン人と日本人は似てる部分がある」などと言われるように、スウェーデン人も時間に正確だったり、ちゃんと列を作ったり、あとはパーソナルスペースがかなり広かったり、そして何より皆さん初対面だとシャイだなという印象があります。道端で目が合った時なんて、お互い、「あ、あ、っ、にこ」という感じが多いです笑

私は高校生の時に10日ほどアメリカにある姉妹校に行ったことがあり、その際学校の生徒もそうですし、空港だったり駅だったり、いろいろなところで出会うアメリカ人の多くが「Hi~」みたいにフレンドリーだったので、スウェーデンに来たときはその違いに驚きました。私も自分から話しかけたりは苦手な方なので、アメリカの方のフレンドリーさがスウェーデンにあればもう少し馴染めるかな~などと完全に他力本願なことばかり考えています笑

そんな中私は今年に入ってから履修している新しいコースをようやく初めて対面で受けてきました。スウェーデン人は仲良くなったらみんなとっても優しくて面白いけれど、はじめはシャイという印象、というか4か月経っての経験?があるので割と身構えて授業へ向かいました(身構えて、というのはもし輪に入れなかったり誰とも話せなかったとしても、彼らは決して私を嫌っているわけではない、という身構えというか言い聞かせです笑)。

なんと!(←失礼!笑)「Hi! ここに座りなよ~」と言ってくれたり、少しお話をしてくれてとても嬉しかったです(予想外でした😮)。そして、授業の後に今日授業で同じグループになってグループワークをした何人かがFacebookをフォローしてくれていて、それもとても嬉しかったです(*^^*)

スウェーデンの方との初対面は割と、日本人との初対面と似てるな~と思ったりします。

 

Songs, Games, and Dramas

そんなこんなでみんな優しくしてくれましたが(本当にありがたい、ありがとうございます)、今日の授業が対面だったのは、「Songs, games, and dramas(歌、ゲーム、劇)」というテーマだったからなんです。(現在私が履修している授業についてはこちらをご覧ください↓)

 

hanamaru5.hatenablog.com

学校の英語教育の中で、どのような歌やゲームを取り入れたらよいのか、どのように取り入れることができるのかなどを自分たちが体験することを通して学ぶ、という授業でした。最後にはそれぞれのグループでおとぎ話や童話をアレンジした劇の発表もしました。

この授業をとってまだ2週間ほどしかたっていませんが、スウェーデンの教員養成の一つの特徴は、「まず自分たちが経験してみる」機会があることだと思います。

ただ、こういう歌を使いましょう、こういうゲームもあります、とか、どのように授業に取り入れられるでしょうか?と考えたり議論する前に、何も考えずに私たち学生が小学生の生徒と同じように歌ったり、手拍子したり、ゲームしたり、劇を作って演じたりする機会を与えてくれるのです。

そして実際にやってみると、大学生の私でも「あ、これ楽しいな」なんて思うわけです。または、「お、これ以外と難しいぞ」なんて気づいたりもします。

先生が楽しいとかやりたいと思わないようなことを、生徒が楽しいとかやりたいなって思ってくれるはずがないんですね。先生も楽しんで全力で行う授業じゃないと、生徒も楽しめない、学びに繋がらない。そんなことを学んだ気がしている今日この頃でした。

 

歌のアクティビティの紹介

それでは私の備忘録として、今日経験したアクティビティの中で、これめっちゃいいじゃん!と思ったものを紹介します!

単語取りゲーム

歌の歌詞に出てくる単語を壁に貼り、その単語が聞こえたら壁から単語をとります。多くとった方が勝ち、というゲームです。かるたバージョンでもできると思います。歌のアクティビティというと、単語を聞いてディクテーション(書き取り)しか経験したことがなかったので、とても面白いなと思いました。

歌の歌詞ビンゴ

このゲームでは先生が歌詞から単語リストを作り、生徒が空欄になっているビンゴのマスにリストから好きな単語を書き入れます。そして、単語が聞こえたら消していきビンゴを目指す、というものでした。自分で単語を選ぶ、という部分に生徒の主体性などを取り入れることができるのが押し付けではなくいいなと思いました。さらに生徒自身が知っている単語を選ぶことができるので、わからない単語を聞き取るのではなく準備ができるため英語が苦手な生徒でも取り組みやすいと感じました。

 

日本でも実施されている先生がいるかもしれませんが、私としては初めて経験したアクティビティでとても面白かったので紹介させていただきました!ぜひ使ってみてくださいね(*^^*)

 

私自身英会話講師のアルバイトで小学生を教えていると歌のアクティビティ=子供っぽいもの、という認識についつい陥りがちで、パターンも全然なくなってきていたのですが、改めていろんな引き出しを持つことの大切さに気付きました。例えば「幸せなら手を叩こう」という曲でも、手を叩くのではなく、ジャンプしたり足踏みしたり、アレンジ無限大なんです。そしてさらに生徒に次はどんな動きがしたい?と聞いて取り入れれば生徒自身の主体性を養うことにもつながります。

いろんな学びがあって、他の学生さんともお話しできて優しくしてもらえて、今日はなんだかとってもいい一日でした!

 

 

それではまた!Hej då!