上京したけど森だった話

~あるICU生のひとりごと~

スウェーデン留学記⑦:3か月経過報告~勉強編~

3か月経過、などと言っておきながら実はもう4か月目に突入して2週間ほどが経っています。時間はあっという間ですね…この前も友達とLINEをしながら、「私たちももう3年生だよ~!」なんて言っていたら、「いや、もうすぐ4年生だけどね」と言われその事実に驚きましたΣ(゚Д゚)

コロナ禍でオンライン授業があったことなどによりかなり時間の感覚が狂っています…とにかく一日一日大切にしなければと思いながらも今日もずっとお家にいました(∀`*ゞ)

 

勉強のお話

留学してきているのに勉強のことについて全くと言っていいほど触れていなかったので改めてここまでの勉強を振り返ってみたいと思います!

スウェーデンの大学システム

スウェーデンの大学の仕組みはとても特殊です。特に履修の仕方!文章で言い表せないので図にしてみました。

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まず、1年は秋学期(8月末~1月半ば)と春学期(1月半ば~6月初め)の2つの学期に分かれています。そしてその1つの学期がさらに4つの期間に分かれています。りしゅするコースによって①どの期間に行われるものか、②単位数、③Study pace (スタディペース)が違うため、それらをうまく組み合わせて1学期間に合計30単位、各Quarter (期間)100%のスタディペースになるように履修します。

このスタディペースというのは勉強の負荷のようなものです。週にどれだけ授業があるか(100%だと毎日に近い割合で授業があるものもあるかも)、課題の頻度はどれくらいか、などがこのスタディペースの指標で分かるようになっています。基本的に各Quarterで100%を超える履修はできないようです。また、単位もヨーロッパの規格になっている(スウェーデンの規格?)ためそのまま日本の単位と換算して考えることはできません。多分日本に帰って単位変換が行われた際には、3分の1~4分の1程度になってしまうのではないかと予想しています。

私の秋学期は図の例7に示したような履修の組み方をしていました。ICUでは1学期間に大体6~7個の授業を履修し、それぞれクラスが週に2~3回程度あるため、合計で17コマほど授業を受けていました。そう考えると、1学期を通してコースが4つしかなく、週に0~3回程度の授業しかない、というのはとてもゆったりとした状況でした。

スウェーデンの大学の評価の仕組み

スウェーデンの大学の評価の仕組みもとても独特だなと感じています。評価の仕方は大きく分けて3つ、①学期末のテスト(学期末のエッセイ・レポート・プレゼンテーションもテストとしてみなされます)、②授業内でのプレゼンテーション、③セミナーへの参加、です。このすべてが行われるというわけではなく、どれか1つだけの場合や組み合わされることもあります。

私は③のセミナーへの参加という評価のされ方はまだ経験したことがなくどのようなものなのかわからないのですが、学期末に出されるエッセイなどの課題もテストとしてみなされる点が驚きでした。私の友達はエッセイを書く際に質問があり先生に話しに行ったところ「私はあなたの試験官であってチューターではないから聞かないで。友達と相談して。」と言われてしまったそう。なかなか把握しにくい仕組みだなと思いました。

また、日本とはかなり違うなと感じたのが、いわゆる単位を落とすことへの考え方の違いです。スウェーデンでは締め切りを過ぎてもエッセイなどの課題を提出できますし、もしパスできなかった場合、再提出をしたり再試を受けることがスウェーデン(ヨーロッパの仕組みかもしれません、調べきれずすみません)の教育に関する法律?のようなもので定められています。日本だと締め切りを過ぎ提出できなければそれは学生の責任で落単、再提出や再試などは基本的に認められていない大学が多いと思います。なので、この仕組みにはとても驚きました。

私が受けていた授業とその振り返り

そんなこんなで私は秋学期に4つのコースを履修していました。本来であれば交換留学などではなく正規の学生は「プログラム」に応募し、その中ではすでに履修するコースが定められているため学部や学科を超えた履修は基本的にできません。ですが、私は交換留学生ということもありそこらへんは自由です。

そこで、教育のコース2つ(スウェーデンの教育システムと比較教育、グローバルティーチャー)と人文学系のコース2つ(ポップカルチャーの社会言語学的分析、プレーンイングリッシュ)を履修しました。

この4つを履修しての全体的な感想は、ちょっと履修失敗したな、です。まず、教育系のコース2つどちらもタイトル的には面白そうだったのですが、後者のグローバルティーチャーは週に1回の授業が約1か月ほどしかなく、毎回変わる先生が毎回新しい違う内容を表面だけさら~っと講義する、といった感じであまり大きな学びは得られませんでした。スウェーデンの比較教育の授業は面白かったのですが、私が1か月遅れて渡航したこと、その間のオンライン受講はオンライン受講者のことがあまり考慮されず聞こえない時もあったりなどそもそもの問題で授業にありつけなかったため、なんとなく消化不良で終わってしまいました。

次に人文学系の授業ですが、これはポップカルチャーの社会言語学的分析というコースを履修したかったため、プレーンイングリッシュというものは穴埋め的感覚で履修しました。社会言語学のコースの方は面白かったのですが、週に1回のセミナーでは特にテーマややることが決まっているわけではなく、決められた講義動画をそれまでに見て、リーディングをして質問などを持ち寄る、といった感じでした。20人近く履修者がいたはずなのに、そのセミナーに参加していたのは4~5人ほど。出ても出なくても良かったみたいです。内容は結構難しかったのですが、先生からの説明などはあまりなく、質問ベース、質問がないならじゃあディスカッションして、と先生がその場で思いついたようなディスカッショントピックについて話し合ったりしました。2週間ごとにテーマが変わりその都度そのテーマに合わせた言語学的分析を行う課題が出ましたので、身の回りにあふれている広告だったり、メディアだったり、そういったものの言語使用に敏感になる、気付きを持ちながら生活するきっかけにはなったものの、なんとなく不完全燃焼感が残ります。

また、プレーンイングリッシュ(Plain English)という授業は上記の図で示したように履修の組み合わせを考えるのがとても難しいので何とか組み合わせられる授業として穴埋め的に取りました。英語の使用というものが世界的に広がっている中で、難しい言葉や言い回しを使うのではなく、誰にでも理解してもらえるような、アクセスしやすい英語使用を目指す、という内容の授業でした。簡単には感じましたが、これからの世の中で大切になってくるコンセプトだと思い、そして今までにそのような概念に出会ったことがなかったのでとても新鮮でした。

これらの授業の履修を通して感じたことは、スウェーデンでは個人が大切にされ尊重されている、ということです。ゆとりのあるスケジュール、出ても出なくてもいいセミナー。だからこそ、自分で勉強の計画を立て、自分に必要な勉強をしていってね、というメッセージなのかなとも思いました。課される勉強ではなく、自ら学びたいと思うことを学んでいく場としての大学。研究機関である大学本来の在り方は、こういったものなのかもしれません。

ですが、私はただ課された最小限のことだけを行い、例えば自分でさらに参考文献を読んだり、調べたりなどといった自立した学習者としての勉強は行いませんでした。よろしくないですね。スウェーデンに来る前は、時間ができるのだからこんな勉強もしてみたい、あれもしてみたい、本をたくさん読みたいなどと考えていましたが、私はなかなか自分で自立しながら学んでいくことが苦手だったようです笑

その分、人とたくさんあったりして原体験からの学び、というものはできた気がしますが、アカデミックな学びはできなかったな、というのが秋学期を終えての感想です。春学期にもし授業外の時間がたくさんあったら、その時間をアカデミックな学びに使っていきたいと思っています。そして、もう少ししっかりと授業の中身にも取り組みます。秋学期はかなり適当に、パスできればいいや、という限界大学生的な思考で笑取り組んでしまいました。よくないですね本当に。もう少し真面目に大学の勉強に向き合う春学期にします。

 

読んでくださりありがとうございました!