上京したけど森だった話

~あるICU生のひとりごと~

【読書】<学級>の歴史学

今回は、というか今回から初めて本の紹介をしていきたいと思います!これは私が読んだ本を忘れないための軽い備忘録だと思ってください。ですので少しでも興味が出た方はぜひ本を読んでみて、もしよければこのブログのコメント欄でディスカッションをしてみませんか?

それではいってみましょう!

 

<学級>の歴史学

この本は、私が2年生の冬学期に履修していたカリキュラム論という授業でその授業を担当していたICU高校の校長先生からおすすめされた本です。

本の内容

皆さんは、「学校とはマクドナルドと同じようなものである」と言われたらどのように思いますか?きっと頭の中に???がたくさん浮かびますよね。この本では、著者がこのように学校以外の制度を用いながら学級という制度を考察していきます。昨今学校や学級といった制度に対しては、いじめ・不登校・引きこもり・学力低下・教師の体罰・画一的な教育・個性つぶし……etc. と様々なことが言われています。これらの事態に関する批判は、「学校とは、学級とはこのようにあるべきだ」という一種の迷信や噂、「教育言説」といわれるものによって成り立っています。ですが、私たちはこういった言説に惑わされて、そもそも「学級」とは何か、を考えてこなかったのではないでしょうか?著者によると、人々が「学級」を当たり前のものとして捉え「学級」に関しての議論が何も起こらないために、教育言説だけが独り歩きしてしまい学校病理(いじめや不登校はじめ様々な問題)がなくならないのだとのことです。

この本の中では、どのように「学級」が作られ発展してきたのかを、イギリスのモニトリアル・システムという学級制度から現代の制度に至るまで通じてを考察しています。そして私たちが現代の学級にまつわる様々な問題を考える際には、目に見える側面だけでなく、目に見えない、根本的な「学級」という制度を考え直す必要があると説いています。

 

この本を読んで

私自身、高校生のある時期までは学校の中に「学級」というものが存在することは当たり前すぎてそのことについて考え直してみたことなんてありませんでした。ですが、高校2年時に行ったアメリカの姉妹校訪問にて、ホームルームがない、ということに衝撃を受けたことを覚えています。先生ではなく生徒が移動して自分の取る授業を取っていく、日本の学級制度とは違うんだな~と感じたことをおぼろげに覚えています。それでも、アメリカはアメリカ、日本は日本、日本には学級制度というものがあるんだ、と学級の存在自体を疑うということは今までに考えたことがありませんでした。この本を読んで、学級の存在を当たり前にしてはいけないということ、そしてどんなに教育言説が「教育はこうあるべきだ」と現代の様々な教育を批判したところで学級というシステムの存在を認識しなければ何も変えることができないということを学ぶことができました。

〈学級〉の歴史学 (講談社選書メチエ)

〈学級〉の歴史学 (講談社選書メチエ)

  • 作者:柳 治男
  • 発売日: 2005/03/11
  • メディア: 単行本
 

柳治男(2005)『<学級>の歴史学講談社選書メチエ

 

皆さんもぜひ読んでみてください(o^―^o)